小説「ある倉庫係の死」(5)
そして、初出勤の1月8日月曜日、9時を過ぎても石山からまだ連絡がない。
・・・どうしたんだ、新年早々飲んだくれているのだろうか?・・・
10時ごろ、彼のお姉さんという人から電話が入った。
「1月6日土曜日の未明。午前1時半ごろ、家の近くの路上で車に轢かれました」
「2時に病院に運ばれ息を引き取りました。仙台市の叔父のところへ直ちに移送され火葬にふされ、今日の12時から葬儀を執り行います」という内容だった。
・・・彼が死んだ?・・・
ボクは一瞬声を失った。
しかし、立場上悲しんでいる暇はない。
やることがある。
とは言っても、今から出かけても葬儀には間に合わない。
折り返しお姉さんに電話をし、ご冥福をお祈りし、葬儀場と喪主を確認、弔電を社長名と社員一同で打ち、その後の手続きについてはお姉さんを窓口とし、帰京されてから処理することにする。
社長に報告した。
「年末に一緒に飲んだとき、酒をやめろとは言わないがほどほどにしろよ。散髪はした方がいいなと言ったら、翌日にはさっぱりして来たのに・・・」
「・・・」
「死んでしまったのか。あっけないものだね。時間から推測すると、おそらく酔っぱらっていたのが原因だろうが、いかにも彼らしいね・・・」
社長の言葉が、彼を採用した是非の結果責任を問われているようで、心がまた乱れる。
─続く─
評論家として著名な西部邁が自殺したという。
なぜ、彼が自殺を?
最愛の奥さんを亡くしたことが原因らしい。
遺書があり、
・・・その悲惨な死にざまを見て、同じ悲しみを愛する娘にさせたくない・・・というのが原因のようだ。
孤高の哲学者であり毒舌の評論家でもあった彼も、家族愛に生きた人だったのだ・・・。
そして、初出勤の1月8日月曜日、9時を過ぎても石山からまだ連絡がない。
・・・どうしたんだ、新年早々飲んだくれているのだろうか?・・・
10時ごろ、彼のお姉さんという人から電話が入った。
「1月6日土曜日の未明。午前1時半ごろ、家の近くの路上で車に轢かれました」
「2時に病院に運ばれ息を引き取りました。仙台市の叔父のところへ直ちに移送され火葬にふされ、今日の12時から葬儀を執り行います」という内容だった。
・・・彼が死んだ?・・・
ボクは一瞬声を失った。
しかし、立場上悲しんでいる暇はない。
やることがある。
とは言っても、今から出かけても葬儀には間に合わない。
折り返しお姉さんに電話をし、ご冥福をお祈りし、葬儀場と喪主を確認、弔電を社長名と社員一同で打ち、その後の手続きについてはお姉さんを窓口とし、帰京されてから処理することにする。
社長に報告した。
「年末に一緒に飲んだとき、酒をやめろとは言わないがほどほどにしろよ。散髪はした方がいいなと言ったら、翌日にはさっぱりして来たのに・・・」
「・・・」
「死んでしまったのか。あっけないものだね。時間から推測すると、おそらく酔っぱらっていたのが原因だろうが、いかにも彼らしいね・・・」
社長の言葉が、彼を採用した是非の結果責任を問われているようで、心がまた乱れる。
─続く─
評論家として著名な西部邁が自殺したという。
なぜ、彼が自殺を?
最愛の奥さんを亡くしたことが原因らしい。
遺書があり、
・・・その悲惨な死にざまを見て、同じ悲しみを愛する娘にさせたくない・・・というのが原因のようだ。
孤高の哲学者であり毒舌の評論家でもあった彼も、家族愛に生きた人だったのだ・・・。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます