小説「ある倉庫係の死」(4)
石山は続けた。
「倉庫に自動車便を頼んでくるとき、他の人はみんな送り状に宛先とかちゃんと書いてきてくれるのに、若井くんだけはやっといてくれ!ってメモを放り投げてくるんだよね」
「・・・」
「・・・」
みんな石山を注目している。
「どうせメモに書くんなら、その手間で送り状に書いてくれればいいじゃん」
「そうすれば転記のミスも防げるし・・・」
彼はいつもと違う口調ではっきり言った。
「確かに石山くんの言う通りだ」
即座に飯島課長が反応した。
・・・意外だ、いつもと違う・・・というように目を見開いて石山を見ながら。
「だよな・・・」
「たしかに・・・」
他の営業マンも、あの小生意気な若井の鼻をよくぞへし折ってくれたというように同調した。
「言うじゃん! 石山さん。悪かった。これからちゃんと送り状書くから・・・」
さすがの若井も石山に謝罪した。
「やるね、石山さん!」
「言うときは言うんだ!」
石山はみんなから喝采を浴びた。
酒の席での発言から、仕事の面でも営業の連中と話ができるようになり、本人自身も結構楽しそうに、滞りなく仕事をこなすようになった。
彼を採用して3か月。
人は見かけで判断しちゃいけない。
対応の仕方で変わり得るんだ。
ボク自身成長したかなと思い出したところだった。
─続く─
昨日ボクは外科医から今年最後の診察を受けた。「手術ではなく抗がん剤で」と言い張るボクは、別の医師に面接するように言われた。
面接するように言われたのは、穏やかな顔のSオンコロジーセンター長だった。
センター長は、言葉では通じないと見たか、・・・基本は手術、抗がん剤では完治は期待できない。副作用が必発!・・・ と力強い文字にして、ボクに突きつけた。
さあ、ボクの決断が迫られることになった。
石山は続けた。
「倉庫に自動車便を頼んでくるとき、他の人はみんな送り状に宛先とかちゃんと書いてきてくれるのに、若井くんだけはやっといてくれ!ってメモを放り投げてくるんだよね」
「・・・」
「・・・」
みんな石山を注目している。
「どうせメモに書くんなら、その手間で送り状に書いてくれればいいじゃん」
「そうすれば転記のミスも防げるし・・・」
彼はいつもと違う口調ではっきり言った。
「確かに石山くんの言う通りだ」
即座に飯島課長が反応した。
・・・意外だ、いつもと違う・・・というように目を見開いて石山を見ながら。
「だよな・・・」
「たしかに・・・」
他の営業マンも、あの小生意気な若井の鼻をよくぞへし折ってくれたというように同調した。
「言うじゃん! 石山さん。悪かった。これからちゃんと送り状書くから・・・」
さすがの若井も石山に謝罪した。
「やるね、石山さん!」
「言うときは言うんだ!」
石山はみんなから喝采を浴びた。
酒の席での発言から、仕事の面でも営業の連中と話ができるようになり、本人自身も結構楽しそうに、滞りなく仕事をこなすようになった。
彼を採用して3か月。
人は見かけで判断しちゃいけない。
対応の仕方で変わり得るんだ。
ボク自身成長したかなと思い出したところだった。
─続く─
昨日ボクは外科医から今年最後の診察を受けた。「手術ではなく抗がん剤で」と言い張るボクは、別の医師に面接するように言われた。
面接するように言われたのは、穏やかな顔のSオンコロジーセンター長だった。
センター長は、言葉では通じないと見たか、・・・基本は手術、抗がん剤では完治は期待できない。副作用が必発!・・・ と力強い文字にして、ボクに突きつけた。
さあ、ボクの決断が迫られることになった。
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