今回はボクが推薦した 佐伯啓思「貨幣と欲望」
2000年、リーマンショックより8年前に、世界経済、特に金融経済の破綻を予見するかのように出された名著。
それに現在のグローバリズムの潮流を批判する補論をつけて2013年文庫化された。
<欲望と貨幣の変化>
本来、<欲望>は衣食住が足りることであった。物々交換に始まり、遠隔地の人々とのモノやサービスとの交換の便宜などのために<貨幣>が開発された。<貨幣>は手段に過ぎなかった。
ところが、現在は限りない<欲望>を充たすために、<貨幣>自身が価値を上げさせたり、資産を産み増やす仕組みが生まれた。
(為替、株トレード、金融商品など)
生産やサービスの代価であった<貨幣>が独り歩きし出し、それ自体を扱うヘッジファンドなどの投資家が国境を越えて、しかもAIを駆使したロボットトレーダーを活用して金儲けする時代に経済が変質している。
結果として4%の人たちに地上の大半の富が偏在する事態となっている。
おまけにそれら富裕層は活動を国の規制を超えてグローバルに展開、納税の義務を回避する手段を講じている。
その<貨幣>は政治にも影響を与えている。
グローバリズム、資本主義、民主主義が人間を幸福にするという神話が崩壊しつつある。
哲学者ハイデッカーは、<大地>と<世界>という言葉を使って象徴的に現代を説明する。
「<大地>は<世界>という空け開いたものを欠くことはできない。他方もし、<世界>が全ての本質的な命運を主催している広がりの軌跡として、自ら決定されたものの上に創基すべきであるならば、<世界>は<大地>を離れて浮動することはできない」
我々人類は、限りない<欲望>をもとに果てしなく進化する道を歩み続けているが、それはあくまでも限られた<大地>、つまり地球という自然に逆らうことはできないんだよ、ということだ。
今日の資本主義の内的危機とは、分裂症的な方向へなだれを打つかのように向かっている点にある。
ハイデッカーによれば、
「<世界>は<大地>の上に自らを空け開くことによって、それは<大地>と抗争するのであるということであり、それを指し示すのが<芸術作品>に他ならない」
つまり、我々社会の基層をなす<文化>についての共通了解と、それに基づく政治的構想力こそが今求められている。
ボク自身のわずかな余生を考えた場合、未来を引き継ぐ少年少女のためにそのことを伝える義務があると痛感しているこの頃である。
具体的には「レロレロ姫の警告」の続編を世に出すことである。
2000年、リーマンショックより8年前に、世界経済、特に金融経済の破綻を予見するかのように出された名著。
それに現在のグローバリズムの潮流を批判する補論をつけて2013年文庫化された。
<欲望と貨幣の変化>
本来、<欲望>は衣食住が足りることであった。物々交換に始まり、遠隔地の人々とのモノやサービスとの交換の便宜などのために<貨幣>が開発された。<貨幣>は手段に過ぎなかった。
ところが、現在は限りない<欲望>を充たすために、<貨幣>自身が価値を上げさせたり、資産を産み増やす仕組みが生まれた。
(為替、株トレード、金融商品など)
生産やサービスの代価であった<貨幣>が独り歩きし出し、それ自体を扱うヘッジファンドなどの投資家が国境を越えて、しかもAIを駆使したロボットトレーダーを活用して金儲けする時代に経済が変質している。
結果として4%の人たちに地上の大半の富が偏在する事態となっている。
おまけにそれら富裕層は活動を国の規制を超えてグローバルに展開、納税の義務を回避する手段を講じている。
その<貨幣>は政治にも影響を与えている。
グローバリズム、資本主義、民主主義が人間を幸福にするという神話が崩壊しつつある。
哲学者ハイデッカーは、<大地>と<世界>という言葉を使って象徴的に現代を説明する。
「<大地>は<世界>という空け開いたものを欠くことはできない。他方もし、<世界>が全ての本質的な命運を主催している広がりの軌跡として、自ら決定されたものの上に創基すべきであるならば、<世界>は<大地>を離れて浮動することはできない」
我々人類は、限りない<欲望>をもとに果てしなく進化する道を歩み続けているが、それはあくまでも限られた<大地>、つまり地球という自然に逆らうことはできないんだよ、ということだ。
今日の資本主義の内的危機とは、分裂症的な方向へなだれを打つかのように向かっている点にある。
ハイデッカーによれば、
「<世界>は<大地>の上に自らを空け開くことによって、それは<大地>と抗争するのであるということであり、それを指し示すのが<芸術作品>に他ならない」
つまり、我々社会の基層をなす<文化>についての共通了解と、それに基づく政治的構想力こそが今求められている。
ボク自身のわずかな余生を考えた場合、未来を引き継ぐ少年少女のためにそのことを伝える義務があると痛感しているこの頃である。
具体的には「レロレロ姫の警告」の続編を世に出すことである。