昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(104)新体制北朝鮮の今後

2011-12-29 06:34:22 | エッセイ
 前回のエッセイで述べた「強い影響力を持つ中国は、金正日亡き後の北朝鮮を開放政策へと導き、なし崩しに核放棄へ仕向ける」に対し、友人M氏からその通りだと思うしそうあって欲しいとコメントを寄せていただきました。ありがとうございます。
 その上で、中国は何故北朝鮮の核保有を許してしまったのか、情勢が変われば核は中国に向けられるかもしれない。意外と中国の北朝鮮政策は指導体制の中一つにまとまっていないのかもしれない。いろいろな人のコメントはあるが、肝心の中国人の話を聞いてみたい旨の疑念も呈されている。
 たしかにその通りだ。

 そこで今日、gooニュースに「北朝鮮の大ニュースに英語メディアは日本の動向にも注目」という興味深い記事を目にしたのでピックアップしてみたい。

 普段は基本的に冷静な英、フィナンシャルタイムズでさえ、もし北朝鮮の権力移譲が安定的に行われないなら「シナリオは半島を遥かに超えて影響を及ぼす。北朝鮮が初歩的な核兵器をいくつか持っているというだけではない。100万人強の北朝鮮軍になにがしかの動揺が起きれば、アメリカと中国と日本という世界最大の経済大国を巻き込んだ消耗戦が繰り広げられるかもしれないのだ」と警告している。

 北京大学国際戦略研究センターの朱鋒教授は「中国のウオッチャーは経済も食糧問題も悪化を続け、総書記の死で力の空白が生まれた北朝鮮国内の<安定性>を極めて慎重に注視していると述べている。さらに「北朝鮮にきわめて暗い展開となりかねない事態に対応するため、中国と韓国とアメリカと日本、そしてロシアが手をとって、会話と協力を促進し、協調的なアプローチをとれないか、強く願っていると発言している。
 

 さらにフィナンシャルタイムは、総書記の死によって再統一が課題として復活してきたと書いている。
 韓国李大統領はかねてから、北朝鮮の自己崩壊によってある日突然<再統一>が<夜霧にまぎれた泥棒のように>襲ってくるかもしれないから心しておくようにと国民に警告していたがその可能性(および経済的負担の懸念)が急浮上してきたと。
 再統一となった場合、1990年のドイツ再統一で西ドイツが負ったよりはるかに大きい経済負担が韓国経済にのしかかるという懸念がある。(南北朝鮮の経済格差は東西ドイツ格差の何倍にもなる)
 その一方で資源に豊富な北朝鮮は韓国経済にとっての絶好の投資機会だという見方もある。
 ゴルドマンサックスは2009年のリポートで、朝鮮半島が韓国主導で統一されれば、2050年にはフランスもドイツも、日本も追い越しているかもしれないと予測している。

 いずれにせよ、これだけの経済格差があることを北朝鮮の国民が認識した場合、ドイツで起きたようなことが朝鮮半島でも起きることは歴史的必然であるような気がする。 
 
 金正恩を囲む一族の力がそれに抗するだけの力を堅持できるとはとうてい思えない。
 問題は中国の北朝鮮に対する支配力維持の執念だろう。