昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(100)文明の進化路線に逆らえるか(23)

2011-12-06 05:45:20 | エッセイ
 <カオスの深淵・借金が民主主義を支配する> 朝日新聞が欧州発の世界経済危機に警告を発するシリーズを掲載している。
「人々の上に立つ者たちが不正で財をなす。聖なる宝も公共の財産も奪う。そして正義という神聖な原則さえないがしろにする」今年多くの市民が街頭に出て異議を申し立てた、豊かさをもたらすはずのグローバル化が、<神聖な原則>をなぎ倒し、社会に混沌(カオス)を広げていることへの抗議ともいえる。

 我々人類は、豊かな生活を求めて、いろいろなシステムを考え出した。
 専制主義的、共産主義的、社会主義的、そして民主主義的システムへと辿り着いた。
 しかし、そのシステムが今岐路に立たされている。
 つまり、ギリシャ発の経済危機がEUを揺るがし、米国でも財政赤字解決策で国内が分裂、日本においても債務問題で迷走を続けている。
「今や民主主義が戦う相手は借金だ」というわけだ。
 債務返済のために各国が国民に強いる痛み。それは結局「金融界が国家を通して人々から取り立てる課徴金にほかならない」とも言える。

 だいたい人類の最重要課題は一般の動物と同じで、<食べる>こと、つまり経済である。
 賢いと自負している人類は、その賢さを駆使して表面的には豊かで、便利な文明を構築してきた。
 しかし、一方では排他的動物的性格も持ち合わせている。
 自分だけという奢った姿勢は相手を支配しようとする。
 一般の動物は腹が満たされれば他を襲うことはないが、人類の<強欲さ>は限りがない。
 自然さへ支配しようとして、文明進化路線をかぎりなく走り続けようとする。
 
 この朝日新聞の記事を見た友人は、ギリシャの破たんは働かないでよい生活をしたいという<強欲>の報いだと見ている。
 <強欲>は働かない人だけではない。
 相手を叩き潰さんとばかり、やみくもに力をつけて働く<強欲さ>こそ問題なのでは。
 友人は「いかなる制度をとるにしても自己規制が肝要で、そのためにはやはり教育でしょうか」と締めくくっている。

 全くその通りで、この際、人類は来し方を振り返り、宇宙から見た現在の地球(自然)を客観的に眺めやって、自らの限界を認めるゆとりと謙虚さが必要なのでは・・・。
 ともかく焦って先へ先へと進む人類の性癖はろくな結果をもたらさないと思う。