昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

昭和のマロの考察(8)言葉(コミュニケーション)8

2010-07-29 05:53:40 | 昭和のマロの考察
 日本語を学ぶ韓国女性から<言わんところを悟るセンス>などと、いみじくも、日本人の非論理的思考を炙りだされたわけだが、<外人と日本人との対比>という意味で興味深いエピソードを二つ挙げてみたい。

 豊臣秀吉の朝鮮出征の帰国の際に多くの朝鮮人技術者が連行された。
 その中に陶工の名門<沈家>の富吉がいた。彼は薩摩藩主島津家に手厚くもてなされ、以降、<薩摩焼>の名家として数々の名人を輩出した。
 その第14代、沈寿官は民間人最高位にあたる大韓民国銀冠文化勲章も受章している。

 その彼が朴大統領に拝謁した。
  

 朴大統領に拝謁した際、「貴国の博物館を拝見したが何故か刀槍がない。日本の博物館には日本刀が飾ってありますが?」
 と問うと「面白いことを質問する人だね。どんなに美しくても人を殺す道具は<美>ではないぞ」
 武人大統領のこの一言に恥ずかしさの余り泣き出しそうになりました。と述懐した時、司馬先生は暫く無言だった。

 やがて「立派な見識ですね」と静かに呟かれたのである。


 文化に対する朴大統領の率直な思いと、相手を思いやる日本人作家の言葉の対比が興味深い。(19997年6月日本経済新聞から)

 中国の朱鎔基首相が、日本から訪れた政財界人にあまり会いたがらないそうだ。(日本人との会見は儀礼的で面白くない)(何が言いたいのか要領を得ない)といった理由らしい・・・ その点、来日したクリントン米大統領が出演したテレビ討論で、不倫疑惑を問いただした大阪の女性は過不足なかった。

 再録すれば 「クリントンさん、はじめまして。私は二人の子どもがいる主婦です。よろしくお願いいたします。
 モニカさんの件でお聞きしたいんです。ヒラリー夫人と娘さんにどのように謝りはったんかお聞きしたいんです。それからね、私やったら、許されへんわとか思うんですよ。でも、あのお二人は本当にね、許してくださったんですか?」簡単なあいさつ、明快な質問内容とはっきりとした自分の主張。米メディアでは大好評だった。

 (朝日新聞・天声人語・19998年11月より)

 ─続く─