ステージおきたま

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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

ずるいぜ!ザ・フルーツ『愛しのドラム』

2017-10-04 10:58:48 | 劇評

 えっ?お客さん、少ないんだけど??

 だって、春風亭昇太だろ、六角精児だろ、テレビでおなじみの二人じゃないか、当然、駐車場満杯、ロビーは大混雑って想像しながら行ってみたら、なんと、がら隙!3日前の菜の花座より少ない、250ちょい。ええー!?そんなことってあるのか?それも、客層、けっこう高め。これまた意外!と思ったが、考えてみりゃ、笑点に呑み鉄だもの、若い女性押しかけてくるわきゃないよ。

 さて、いつもの通り客席のずっと上段から見せてもらった。うむ?つまらんぞ!演技下手ぁぁ!笑い足りない!受けたのは、内輪ネタ、笑点の司会=商店街のイベント司会、とか、昇太の独身ネタ。それとヅラが落ちて失笑!

 中島敦彦ってことで期待してた脚本も、小劇場じゃよく見る、すっとび展開の連続。いや、これ嫌いじゃないけど、失踪したドラマー兼社長を探しに行くのに槍ヶ岳とか富士の樹海とか、って想像力足りんだろ。このくらいのナンセンス、今時びっくりしやしねえぞ。それに装置もこじんまり、良く言って。菜の花座の装置さんが、ばらしの時に、会館関係者から、菜の花座の装置と似てるね、って言われたってほくそ笑んで程度のものだもの。

 ところが、ラスト30分は拍手喝采雨あられ、手拍子シャンシャンの大盛り上がりになった。

 主演者3人のグループサウンズバンド、ザ・フルーツの演奏になったからだ。そうか、そういうことなのか。これがやりたくて芝居作ってたんだ。役者と落語家と脚本家で作るバンド、ずっと以前から演奏活動続けてきたってことなんだ。で、それを舞台に持ち込めれば、いいもの出来んじゃないか、ってのが彼らの魂胆だった。

 それはいい。それは許す、て、言うか、羨ましい。僕もそんな真似事をしょっちゅうやってるから、一気に親近感がわいた。共演のメンバーにも、ギター弾きながら歌わせたり、アコーデオンやらせたり、津軽三味線演奏させたりって、このムチャぶりにも大いに共感だ。もちろん、演奏は上手くない。ギターの六角精児を除けば、ほぼ、素人芸だ。アマチュアだって、頑張りゃできるレベル。

 なのに、この盛り上がりは、なに?彼らがテレビを通して顔なじみだからだよ。お客さん、拍手できるの待ってるの、手拍子で乗って行けるの心待ちにしてんだから。内輪ネタで笑い取ったり、余技で盛り上がったり、ずるいよなぁ、我々がやれば、叩かれるかどっちらけか、不評を買うこと間違いなしだもの。これも、プロとアマとの隔たりの一つなんだ。

 あっ、そうか!こういう余技で勝負の舞台だから、この程度しかお客さん入らないってことなんだ。昇太が落語やれば、きっともっとたくさん入るんだよ、きっと。なるほどね、お客さんも知ってるんだ。人気者が出てはいても、本職の芸の舞台じゃないってことを。

 だからさ、出演者たちも、客席の少なさをネタにし過ぎちゃいけないっとことよ。負い目ははお互い様なんだからさ。

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