コント4本、書くには書いた。でも、どうやって仕上げるの?出演者は一人1本だけど、こっちは4本!それ無理でしょ。一つのグループ見てる間、他のチームは待合室状態、こんなのおよそ非効率。本番まで3週間と時間も足りないってのにそんな悠長なことやってられない。僕一人でくどくど直し入れてたら、本番直前ようやく立ち稽古、なんて絶体絶命のピンチにも陥りかねない。そこで、
閃いちまったね。自分たちで完成してもらおうじゃないか。
各チーム、演出を一人立てて、その人を中心にして仕上げることにした。合議制にはしない。あくまで演出の責任仕事。仲間同士勝手放題言い合ったら示しがつかない。寄せ集めの妥協の産物になりかねない。それに演出も育たない。すべてを肩に背負って乗り越えてこそ、自分の作品と納得いく仕上がりにもなるはずだし、その過程で頭を絞れば、いろんなアイディアも生まれてくる。考える習慣、創造力を広げる経験、他者に指示するノウハウ、演劇でリードするための様々な能力を鍛錬することができるはずだ。
演出は、僕の方で指示した。力があること、菜の花座を背負って立つ可能性、引っ張っていく能力、舞台経験、などいろいろ考慮して決めた。幸い若手が別グループに分かれたので、その3人を指名、さらにもう一つ、シニアグループでは、経験豊富な人にお願いした。3人はチーム内の最年少、年寄り連中の好き勝手なちょっかいを排するために、くれぐれも演出中心!をきつく指示した。
任せた以上、口出しは禁物、ダメだしは最小限に。これが、難しいんだなぁ。ついついああだこうだ差し出た口を突っ込みたくなる。このお節介癖を何とてしてもおさえなくちゃならない。2回目の稽古の昨日は、稽古場の隅でじっと固まっていることにした。四方からセリフが飛び込み、すでに立ちに入ったグループも目につくが、じっと定位置を動かぬよう、堪えた。本当に必要最小限のアドバイスを2,3しただけ、よく我慢した。
このグループ競演、演出4人のしのぎ合い、思わぬ効果を生んでいる。競争意識が生まれているのか、どのグループも仕上げに熱中している。もの凄い熱気!20畳ほどの部屋で3つのグループ(昨日はシニアチームはお休み)、嫌でも他のチームの様子がびんびんと伝わってくる。これは、頑張るわな。もっと面白く、もっと工夫を凝らして、演出も役者たちも必死でアイディアふり絞っている。
いいものができるかどうか、そこが最終的な評価軸だけど、みんなが熱中して和気あいあいと仕上げに加わっているってことも大きいことだ。見るところ、またまだ経験不足、アイディア不足の感はあるが、それも辛抱だ。至らぬ点は多々あったとしても、自分たちで仕上げる経験は貴重なもの、若干の不出来には目をつぶろう。それに、僕には到底考え及ぼないフィディアなんかも飛び出してきてて、こんなやり方が待ち望まれてたんだなぁ。
そう、次の演出家を育てなさいよ、ってことなんだよ。いつまでも偉そうにふんぞり返って仕切りまくってんじゃねえよ、ってことだ。