ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

この笑顔の価値は?

2010-10-05 23:41:10 | 教育

 今日は高畠町立糠野目小学校で食育子どもミュージカル『ベジタブル!ワンダフル!!』の公演。えっ、平日じゃん?そうよ、平日!学期に2回は公欠をもらって公演に出ることを許してもらっている。と言っても校長や教頭が許可してくれてるってことで、教員の中には、「演劇部公欠ありすぎぃぃ!」って声も根強くある。

 まっ、たしかに大会やらなんやら結構出してもらってるから、少なくはないねぇ。ただ、土日だろうと夏休み中だろうと公演のための遠征許可はすべて担任に提出しているので、そんなののべつ幕無しに見せられてると、そのどれもが公欠!って勘違いも起こるに違いない。なんせ、この2週間でも、6回の公演(ただし、うち5回は休日の公演)だから。

 公欠とれば授業が遅れる、勉強に支障が出てくる。それはその通りだ。土日が公演で週末課題の提出がおろそかになってるなんて奴もいる。担任が過敏に反応するのもわからないわけじゃない。この一週間は公演に穴を開けないために、学校休んで休養する?なんてとんでもない奴も出ていて、そりゃやっぱ本末転倒なんだ。

 でも、それも考えようによっちゃ、たいしたものだって思う。だって、公演は既に決まっている対外的な約束事だし、休めば仲間を裏切ることになる。こりゃ絶対休めない、だから、体調を調整するため休んで休養しよう、うーん、これってかなりけなげじゃないか?いやいや、ダメだよそんなこと、そんな弱いこっちゃダメ!

 部員たちの学習の遅れを気にしてくれる先生たち、ありがたいって思う反面、生徒のことちゃんと見てる?って聞いてみたくなるんだ。だって、そうやって公欠多過ぎ!ってクレーム付ける人は概して演劇部の公演見ていないんだよ。自分のクラスに演劇部員が何人もいるのに、三年間一度も見たこと無いって人だっている。年に数回しか公演しない演劇部ならまだしも、年間公演回数30~50回っていう置農演劇部でだよ。

 公演の時に生徒たちがどんだけいい笑顔でいるか!知らないんだよなぁぁぁ!公演の度に主催者からどれだけ感謝されているか!知らないんだよなぁぁぁぁ!公演の素晴らしさ、公演前後の行動の見事さがどれほど賞賛されているか!知らないんだよなぁぁぁ!公演ごとに生徒たちがどれだけ自信を付けていくか!し知らないんだよなぁぁぁ!礼儀正しくなり、自分を表現する術を身につけ、大人との関わり方を学び、仲間との信頼を築いて行く。これって教育じゃないのか?

 教科の学習がくだらないなんて言うつもりは毛頭無い。勉強は絶対大切だ。だから、演劇部独自の夏休み課題も出した。漢字検定も全員で受験した。進学希望の3年生には毎日の家庭学習の提出を求めている。でも、公演で得られるたくさんの人間的価値を無にしてまで追い求めるものとは思われない。

 公欠をもらって出た今日の公演。小学生を大笑いに誘い、1時間舞台に心を釘付けし、割れんばかりの拍手をもらい、涙が溢れるような感想を述べてもらった。さらに、各組に数人ずつ分かれて給食を共にするなんて願ってもない経験もさせてもらえた。もちろん、その場では子どもたちと会話を弾ませ、心を通い合わせた。こんな体験、果たして6時間の教科の授業で補い尽くせるものだろうか!

 クラスの生徒として勉強の遅れを気にしてくれるのはいい。でも、それだけ生徒の成長を気に掛けるなら、教室以外の場所での生徒たちの成長する姿に目を見張ってほしいんだ。部活動の時、どれだけ目を輝かせて活動しているか!どれだけ生き生きと動き回っているか!学校休んでだって公演は休まないって部員たちの気持ちを支えているものはなにか!演劇を、公演を通して、どれだけ多くのものを学んで行くのか!まずは、生徒たちの姿を真摯に見つめることからしか教育は始まらないって思うんたけどな。

 で、例えば、試験前一週間になった今日、クラスごとの学習時間が終わった後、演劇部員たちは活動場所の教室で演劇部独自の試験前学習をしてたってこと。1時間半近く、まったくおしゃべりすることなく全員が勉強に集中してたってこと、知ってほしいんだよなぁぁぁ!

 

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