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竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

万葉集 集歌3890から集歌3894まで

2022年11月30日 | 新訓 万葉集
天平二年庚午冬十一月、大宰帥大伴卿、被任大納言 (兼帥如舊)上京之時、兼従等、別取海路入京。於是悲傷羇旅、各陳所心作謌十首
標訓 天平二年庚午の冬十一月に、大宰帥大伴卿の、大納言に任(ま)けらえて (帥を兼ぬること旧(もと)の如し)京(みやこ)に上りし時に、兼従等、別に海路(うみつぢ)を取りて京(みやこ)に入りき。ここに羇旅(きりょ)を悲傷(かなし)び、各(おのおの)所心(おもひ)を陳(の)べて作れる謌十首
集歌3890 和我勢兒乎 安我松原欲 見度婆 安麻乎等女登母 多麻藻可流美由
訓読 我が背子を吾(あ)が松原よ見わたせば海人(あま)娘子(をとめ)ども玉藻刈る見ゆ
私訳 私の大切な人を私が待つ、その松原から見渡すと、漁師の娘女達が玉藻を刈るのが見える
右一首、三野連石守作
注訓 右の一首は、三野連石守の作れり

集歌3891 荒津乃海 之保悲思保美知 時波安礼登 伊頭礼乃時加 吾孤悲射良牟
訓読 荒津の海潮干(しおひ)潮(しお)満(み)ち時はあれどいづれの時か我が恋ひざらむ
私訳 荒津の海は、潮が引き潮が満つその時間は判るのけれど、いつの時に私が貴方を慕わないときがあるでしょうか。

集歌3892 伊蘇其登尓 海夫乃鈎船 波氏尓家里 我船波氏牟 伊蘇乃之良奈久
訓読 礒ごとに海人(あま)の釣船泊(は)てにけり我が船泊てむ礒の知らなく
私訳 磯毎に漁師の釣り船が泊まっている。だが、私の船が泊まるだろう、その磯は知らない。
注意 原文の「海夫乃鈎船」の「鈎」は、一般に「釣」の字を使います。

集歌3893 昨日許曽 敷奈弖婆勢之可 伊佐魚取 比治奇乃奈太乎 今日見都流香母
訓読 昨日(きのふ)こそ船出はせしか鯨魚(いさな)取り比治奇(ひぢき)の灘(なだ)を今日(けふ)見つるかも
私訳 昨日に船出をしたのだろうか、鯨のような大きな魚を取る漁師よ。すると、比治奇の灘を今日は見るのだろうか。

集歌3894 淡路嶋 刀和多流船乃 可治麻尓毛 吾波和須礼受 伊弊乎之曽於毛布
訓読 淡路島門(と)渡る船の楫間(かじま)にも我れは忘れず家をしぞ思ふ
私訳 淡路島の海峡を渡る船の楫の、そのわずかな間も、私は忘れずに家の人のことを思い浮かべる。

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