Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

White Limousine

2013年09月07日 | 映画など
デビッド・クローネンバーグ監督『コズモポリス』を見る。
官能と暴力をとことん追求するこの監督、
もはや哲学的領域にまで
到達しているのではないかと思えるほどの深さ。



これは会話劇か。それともディスカッションドラマか。
そんなことを思わせる始まりで、結局映画の半ば過ぎまで続く。
大富豪の主人公が乗るリムジンの中に、
会社の部下や愛人、医者などが入れ替わり立ち替わり
乗ってきては、意味深な会話を繰り広げるのだ。

医師に前立腺が非対称だと言われたり、
愛人との快楽にふけったり、
投資している中国元が下落していることを知ったりする。
リムジンの窓からは、デモ行進が見えるなど
主人公の恵まれた境遇とは正反対の世界が見えてくる。

リムジンって映画と相性がいいのかもしれない。
異様なほど細長い車体はスクリーンに生えるし、
中に乗っているのは、たいてい精神の病んだ金持ちかヤクザだ。
そういえばちょっと前にみたカラックスの『ホーリー・モーターズ』も
主人公はリムジンに乗っていたっけ。

閑話休題。
映画が進むにつれて、
主人公は銃を手にして、自ら破壊行動に出る。
終盤は暴力の匂いが充満し、片時も目が離せなくなる。

一言でいうと変な映画、というか。
まあクローネンバーグ作品を「変な映画」と評することは、
イコール褒め言葉だし、
変態的であればあるほど、この監督の映画は面白い。

それにしてもジュリエット・ビノシュ。
なんともまあ色っぽい愛人役で、
この女優さんは若い頃も良かったけど、
50歳近くになってさらに凄みを増してきたと思う。


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