森崎東監督のものすごい傑作とは、
98年に公開された「ラブ・レター」。
浅田次郎原作で、主演は中井貴一。
主人公は、裏ビデオ屋の店長をしているヤクザもん。
人の好いところがあり、悪人になりきれない男を中井貴一が好演。
そんな男が、中国から密入国してきた女と偽装結婚することになる。
戸籍を貸しただけで、何の交流もなかった女だったが、
その女が死んだという知らせを受け、戸籍上は夫なので、
遺体を引き取りに行く羽目になってしまい、
映画は一転、ロードムービーへと展開する。
その過程で、初めて知るその女の出自や、
日本でどんなことをさせられてきたのかが浮き彫りになっていく。
「ラブ・レター」という題名にあるように、
女から主人公に宛てた手紙が読まれる場面は、涙を禁じ得ない。
主人公とさほど変わらない半端モンである観客(自分も、だ)は、
何の言葉も出なくなってしまう。
抒情的な演出のもと、スクリーンに哀しみと怒りが充満し
これでいいのか。お前はどうなんだとに問いかけてくる。
まさにものすごい傑作であり、ありがとう森崎監督、
映画館でかかったらまた見に行きます、と。
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