goo blog サービス終了のお知らせ 

Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

境界線を行ったり来たり

2016年11月22日 | 映画など

黒沢清監督「タゲレオタイプの女」を見る。

すべてフランスの俳優とスタッフで撮られた最新作。

どこで撮っても、何を撮っても、

黒沢印以外の何物でもない、と思うことしきりの

ゴシックホラーでラブロマン。

 

 

タゲレオタイプとは、

大きな大きな銀盤に投射するタイプの撮影機のこと。

写真に写るためには、

被写体は器具で体を固定し、

長い時間停止していなければならない。

そんな旧式な撮影をする

カメラマンの助手をすることになった青年。

彼が目の当たりにする、異様なほどの撮影形式と、

それを撮るカメラマンの執拗さ、

そして被写体になる娘のはかなげな様子。

 

黒沢監督は

植物の怖さを出すのがうまい。

植物って、じわじわと根を張り、徐々に生い茂っていくわけで、

そのゆっくりとした感じというか、

いつのまにこんなに恐怖の根を張ったんだ、と。

この映画にも植物を育てる温室が出てくるし、

タゲレオタイプに写るために、器具で体を固定された娘は、

まるで植物の木と枝のようにも見える。

 

そんなじわじわした恐ろしさのなか、

これは、この現象は、この人は、

現実のものなのか、それともこの世にはないものなのか。

 

見ていてどんどん曖昧な地点に

追い込まれていく感じがするとしたら、

それはつまり、監督の術中にはまっているということなのだろう。

黒沢監督。「クリーピー」に続き、絶好調の最新作と言える。

 

 

 

 

 

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 苦労は買ってでもと言ったのは誰 | トップ | ナニを探して »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。

映画など」カテゴリの最新記事