Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

英雄もつらいよ・硫黄島篇

2006年11月12日 | 映画など
ハリウッドメジャーの映画で、必ず見るのは、
スピルバーグとイーストウッドの映画だ。
なんだかんだと言っても、
このふたりの監督が世界の映画を引っ張っている、と思う。
で、イーストウッドの新作『父親たちの星条旗』を見る。


父親たちの星条旗(2006)


第二次大戦中、
日本軍との戦いにおいて、
硫黄島に星条旗を掲げた兵士たちの物語だ。
彼らは国を挙げての英雄となる。
しかし、彼らは本当に英雄だったのか。
彼ら自身、自分のことを英雄と思っていたのか。
自問自答する彼らの姿を、
硫黄島での戦闘シーン、英雄扱いされ国中を巡業するエピソード、
そして現在、老人となり、人生の終焉を迎えようとする場面を
カットバックしながら描いていく。

ひとことで言うとこの映画は、
アメリカ国家批判である。そして、アメリカ人賛歌である。
国を非難し、個人を重んじる。

この映画の作り手は、国家がどんなに偽善的であろうと、
戦争がどんなに悲惨で不条理なものであろうと、
そこで戦った兵士たちの純粋な気持ちに迫っていく。
英雄と言われながら、恵まれなかった兵士たちの晩年の姿が痛々しい。

意地悪な見方をすると、
兵士たちは純粋である、という作り手の圧倒的な信頼感のもと、
この映画は作られている。
アメリカに絶望しながら、アメリカを信頼している。
アメリカ映画で(おそらく)最高の監督がそうした考えを
世界中に訴えようとしている。
そういう意味で、この映画は国策映画だと思う。
それもかなり変化球的な。

12月に公開の『硫黄島からの手紙』は日本軍の視点から描くという。
アメリカ人のイーストウッドが、日本人をどう描くのか、
男たちの大和/YAMATO』みたいな映画になるのかな…。
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