中野量太監督「湯を沸かすほどの熱い愛」を見る。
実は、この映画の予告編は何度も見ていた。
難病モノなのは明らかだし、
あざとく泣かせる映画なんだろうなと。
宮沢りえは達者な女優さんだから、
絶対泣いちまうんだろうなと。
でも、違った。そんな映画じゃなかった。
というか、驚いた。作り手の強固な意志というか、
メッセージがぐんぐん伝わってきて、気がついたら
思い切り堪能していたという。
盛りだくさんの映画だと思う。
末期ガンを宣告される母親。
学校でいじめを受け不登校になりそうな娘。
行方不明になっていて、帰ってきたと思ったら、
別の女との間にできた小さな娘を連れてきた父親。
その他、クルマで旅行する母と娘にヒッチハイクする青年や、
母が夫を探し出すために依頼している探偵など、
登場人物一人ひとりにドラマがあり、
それが過剰になることなく決着し、
張られた伏線も綺麗に回収される。
つまりは脚本が良くできているということだろう。
人が生きて死に、残された者は
しっかりと生きていかなければならないのだけど、
その意味を問いかけてくる映画というか。
だから泣けない。安易に感動などできないなあ、と。
あと、銭湯が出てくる映画はハズレがない。
仕事など早めに切り上げて、銭湯行こうかな。
これを見る前の晩に「永い言い訳」を見ていたので、西川美和の圧倒的な深さに対して、これは浅いなと感じてしまった。オダギリジョーのキャラと関係性としてもTVの「おかしのいえ」の方がよかったな。
とはいえ、ベタになりすぎそうな話をギリギリ魅力的に持って行く俳優の力。それを引き出す演出と脚本の力はやるなと思った。
この監督は、数年後にすごいのを撮るかもしれない。
やられた感じがあったんだよな。
「永い言い訳」か。あの映画、ほとんどホラーだと
思いながら見ていた。なんか怖いんだよな。
ヒマがあったらブログに書きます。