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Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

生きる意味を求めて

2025年06月17日 | 映画など
李相日監督「国宝」を見る。
あのですね。このブログを見ている人。
いいから黙って映画館に行きなさい。
で、この映画を見て打ちひしがれるといいです。
なんという傑作。こんな映画が見られるなんて、
生きてて良かったと万人が思うことでしょう。
とかなんとか、いくら美辞麗句を並べ立てても、
到底、この映画の素晴らしさは表現できないわけで。


のっけからスリリングで心を奪われる。
ヤクザの子である喜久雄(吉沢亮)は
親分である父親を殺され、
それを目の当たりにする場面。
これってヤクザ映画なの? 歌舞伎の映画じゃないの?
と観客を惑わせるほどの熱量で斬った張ったが描かれる。
業の深さを体に染みこませるかのように、
ガキンチョのくせに彫り物を背中に背負う喜久雄。
歌舞伎役者の半二郎(渡辺謙)に引き取られ、
跡取り息子の俊介(横浜流星)とライバル関係になりながらも、
友情を育んでいくくだりも、大河ドラマを見ているような気分になる。

歌舞伎のことは大して知らない。
ただ、近松門左衛門の「曽根崎心中」は
増村保造の映画で見ているからよくわかるというか。
この演目を演じる喜久雄と俊介の鬼気迫る芝居。
壊疽におかされた俊介の素足を
喜久雄が凝視する場面は映画史に残るでしょう。

業を背負った喜久雄はさらに、
芸の道に突き進んでいく。
いったい、その先には何があるんだろう。
いくら突き詰めたって幸せにはなれないだろう、と思いながらも、
堂々と正攻法すぎる演出のなか、
芸道の恐ろしさと美しさに惚れ惚れするしかない。

俳優はみんな素晴らしい。
薄気味悪さと高貴さがないまぜになった
人間国宝の歌舞伎役者を演じた田中泯をはじめ、
すべてを冷徹に見つめるタニマチの三浦貴大もいい。
寺島しのぶは、まんまの役で、
あざとすぎると思うも、醸し出す空気感が本作を
説得力のあるものにしているんだろうと思ったり。
そして高畑充希。屈託のあるヒロインを演らせると
この人はものすごい魅力を放つ。
後半、落ちぶれた吉沢亮を支える森七菜は、
演技開眼じゃないかと思うぐらいの存在感。

あれ〜奥さん(←誰?)、
まだ映画館行ってないんですか? んもお。
四の五の言わずに行ってくださいよ〜奥さん(←誰?)。
えっ。だ、旦那(←誰?)
見てないんですか。どうしたんですか。
旦那(←誰?)ともあろう人が。あちゃあ。
今すぐダッシュで見ましょうよ


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