ウディ・アレン監督
「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」を見る。
さて困った。傑作だぞ、これ。
なぜ困ったかは後述するとして、
アレンの映画にエル・ファニングが出ると聞けば、
何を置いても見たくなるわけで。
80歳超えの監督が撮ったとは思えない快調なテンポと
ロマンチックでありながら、ファンタジックにはならない苦味の妙。
だ
アリゾナの大学生アシュレー(エルファニ)が、
有名な映画監督にマンハッタンでインタビューすることになり、
彼女の恋人でニューヨーク育ちのギャツビー(ティモシー・シャラメ)が、
アシュレーを案内がてら、ニューヨークを満喫しようと計画する。
でも、アシュレーがインタビューした映画監督はノイローゼ気味で、
これは特ダネが取れると踏んだアシュレーは、
ギャツビーと落ち合う約束をすっぽかしてしまう。
いっぽうギャツビーは、映画撮影をしている旧友に会い、
そこでかつて付き合っていた娘の妹のチャン(セレーナ・ゴメス)と再会し、
役の上とはいえ、クルマの中でキスをすることに。
ニューヨークの映画人をどんどん虜にしていくアシュレーと、
物憂げに自分探しをしながら、
ニューヨークの街を徘徊するギャツビー。
たった1日のあいだに起こるハプニングのなか、
ふたりの性格や生き方、生活信条などが浮き彫りにされ、
このふたりはどう見ても合いそうもないし、
何よりお互いを必要としていない感が際立ってきて、
見終わったあとは、いくばくかの苦味が残る。けれどその後味は悪くない。
それもこれも、すれ違いがどんどん広がっていく状況を、
あくまで軽やかに描いているからだろう。すんなりと見られて、
ちょっと笑って、最後は少しだけ人生の苦味とか渋味を
観客に思い知らせてやろうという演出と脚本。
これまでの出演作で、
不機嫌な表情と仕草を観客に振りまいてきたエルファニ。
今作では、意外なコメディエンヌぶりを存分に発揮していて、
これが大人の俳優になっていくことなんだろうなと。
エマ・ストーンとか、ジェニファー・ワトソンみたいな
大スターになっていくのかな。と少しだけ残念に思うのは何故だろう。
今が旬のティモシー君は、
先日見た「ストーリー・オブ・マイライフ」でも好演していたし、
なんと今度はディランの伝記映画に主演するらしい。
あとセレーナ・ゴメスって女優さん、つい最近見た気がしたけれど、
「デッド・ドント・ダイ」のちょっとアンニュイ(死語)なお姉ちゃんでした。
エルファニの正統派ぶりとは好対照に、いい感じにやさぐれていて好感。
とまあ、大満足の一作で、まさに傑作だと思うのだけど、
結局のところ、何が困ったかというと、実は…
というところで、時間がなくなっちまいました。
また追って書きます。