Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

風景に溶け込むコワモテ

2020年07月30日 | 映画など

イ・ウォンテ監督「悪人伝」を見る。

いま旬の俳優というと、ティモシー・シャラメ君と、

この人、マ・ドンソクなのだろう。

なんともまあ強面というか凶悪というか、

このおっさんの顔だけで映画が2時間持ちそうだけど、

本作は旬の俳優におんぶにだっこではなく、

ハッタリの効いた演出と、

熱のこもった登場人物たちが跋扈し、暴発する。

気の利いたラストも楽しい、クライムアクションの快作。

 

 

極悪なヤクザの組長が、何者かに刺され、

奇跡的に命を取り留めたことから、

その謎の殺人鬼を追う刑事と結束するストーリー。

 

ヤクザはとことんヤクザだし、

刑事はとことん暴力上等だし、

殺人鬼はとことんサイコパスという。

わかりやすいトライアングルでありながら、

映画はこの3人の誰にも感情移入しない。

三者三様の血みどろの闘いをただ見せられることの快感。

 

こんな映画、前に見たことがある。

セルジオ・レオーネ監督「続・夕陽のガンマン」(66)は、

善玉、悪玉、そして卑劣漢の3人が金貨をめぐって争う西部劇だったし、

ウォルター・ヒル監督「ザ・ドライバー」(78)も、

ドライバーと刑事、それからギャンブラーの女の3人が入り乱れる

カーアクション映画だった。2作とも傑作だったのは、

登場人物の誰にも思い入れが込められていないこと

そして、登場人物は、ガンマンとか走り屋といった、

与えられた役割をひたすら果たしていたからだろう。

ひたすらハードボイルドな職業映画と言ってもいいかもしれない。

 

本作「悪人伝」もその継承にある映画かな、と。

ともあれ、意表を突いた展開と、

オチの付け方のセンスに感嘆。

 

コメント
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