ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督「ブレードランナー2049」を見る。
35年ぶりの続編。そんなに前の映画だったのかと思う。
あの雰囲気、語り口、世界観、人物造形など、
この続編を見ながら、
「ああ、『ブレードランナー』ってこういう映画だったな」
と、35年の前作を思い出していくという不思議な映画体験。
前作でレプリカントの女・レイチェルと逃亡した
デッカード(ハリソン・フォード)の30年後を描く物語だけど、
主役はレプリカントであり、
ブレードランナーのK(ライアン・ゴスリング)。
そのKが、デッカードとレプリカントのあいだに生まれた子供を捜索する。
人間が作り出したレプリカントこそ、
人としての感情を持っているというテーマが、
荒廃しきった未来世界のなかで、淡々と描かれていく。
そう、これこそ「ブレードランナー」であり、
とにかく陰鬱で地味。世界観の作り込みには圧倒されるけど、
決して見ていて楽しくならないし、
わくわくするような映画ではない。
でも、そんな作りをこよなく愛する人がいたからこそカルト化したのであって、
この続編も、そういう意味では陰鬱で地味だ。
一見さんお断りな感じも、この作品らしいというか。
前作が公開されたのは、1982年の夏。
東京では今は亡き新宿ミラノ座で
SF映画の大作として公開された。
でも、あの千人以上入る巨大な映画館が、ほんとにガラガラで、
観客は数えるほどしかいなかった。
当時、たまらなく孤独でやさぐれていた自分にとって、
この映画は、それはそれは心に響いたわけで。
時は流れて、2017年の今。
35年ぶりの続編をこれまたガラガラのシネコンで見る。
今回もけっこう心に響いたということは、
きっと今の自分も、孤独でやさぐれているのだろう。
前作との比較もしたいところだけど、
そこはマニアの皆さんにお任せします。