Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

すれ違いの彼方に

2017年11月03日 | 映画など

アスガー・ファルハディ監督「セールスマン」を見る。

暴漢に襲われた妻。事件を解明しようと懸命になる夫。

犯人は一体誰なのか、というミステリー展開に

引きこまれているうちに、全く別のテーマが

浮き上がってきて、思わず見入ってしまったという。

 

 

妻が襲われる。知らせを聞いて病院に駆けつける夫。

どうしたんだ、何があったんだ。

そう問いかける夫に、妻からの言葉は少ない。

ただ怖いから傍にいて、と。

しかし、妻を傷つけられたことに

怒りと焦りに苛まれた夫は、犯人捜しに懸命になる。

 

ふたりは舞台役者でもあり、

アーサー・ミラーの「セールスマンの死」の上演風景が挿入される。

舞台の上の登場人物の苦悩と、

それを演じる夫と妻の苦悩がシンクロしていく。

つまりは、夫婦の映画なんだなと思う。

お互いの苦悩が理解されないまま、どんどん物語が転がっていき、

どうにもならない展開を目の前にしたとき、

夫も妻も。そして観客も途方に暮れるしかないのである。

 

中東マニアとしても、大変興味深い映画というか。

イラン映画でアーサー・ミラーの名前が出るとか。

警察など国家権力への不審感とか、

性犯罪のシーンの見せ方とか、

興味は尽きることはないのだけど、それはまた別の話。

 

 

コメント
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