Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

あの時代の空気

2016年06月15日 | 日々、徒然に

中川梨絵さん…

享年67とは、ちょっと若すぎやしませんか。

日活ロマンポルノで名を馳せた女優さんとして、

リスペクトするファンは世界中にいると思います。

 

 

代表作はなんと言っても神代辰己監督の

「恋人たちは濡れた」にとどめを刺す。

安保運動を引きずっているような流れ者の男が、

寂れた海辺の町にやってきて、

映画館のフィルム運びの仕事を始める。

そこで出会う若い女を演じたのが中川さん。

独特な倦怠感が漂うこの映画のなかで、

際立つ存在感を示してくれたというか。

 

日活ロマンポルノが多くの傑作を生み出したのは、

中川さんのような、時代の空気を上手に体現できた

女優さんによるところが大きいと思う。

 

同じ神代監督の「女地獄・森は濡れた」では

サディズムの虜になる貴婦人を演じたり、

相米慎二監督の「ラブホテル」では夫を寝取った

女を追い回す中年女役でコミカルな味を見せたりと、

女優としてのポテンシャルは非常に高い人だったのでは、と。

そういえば、デビュー作は成瀬巳喜男監督の「乱れ雲」だった。

 

もう一本の代表作は

黒木和雄監督の「竜馬暗殺」。

70年代の学生運動のきな臭くてやるせないムードを

幕末に生きる竜馬たちの姿に重ねた

ATG映画の傑作でしょう。

 

 

中川さんは竜馬と関係を持つ女を演じ、

エキセントリックで自由奔放な役どころが印象的でした。

それにしても、上の写真、

竜馬役の原田芳雄も、

中川さん演じる女の弟を演じた松田優作も今は亡く、

今ごろは向こうでこの映画みたいに、

記念写真を撮っているのかな、と。

中岡慎太郎役の石橋蓮司が元気なのは、

何よりだけど、寂しくなりますな。

 

スクリーンでそのアンニュイで妖艶なお姿に

再会したいと思います。合掌。

 

 

コメント
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