「ありゃあ、やっちゃいましたか」
先生は同情の目を向けながら、こう呟いたのだった。
そうなんです。やっちゃったんです。
朝、目が覚めて布団から起き上がり、
顔を洗おうと洗面所に向かい、
蛇口に手をかざして身をかがめたときのことだった。
ぐぎ。
本当にそんな音がしたのだ。そう、腰の左あたりから音がして、
その瞬間、恐ろしい痛みが。なんだこれは、どうなっているのだ。
そして、冒頭のセリフに戻る。
悲痛な面持ちでいつもの整体院に向かい、症状を話したら、
先生はいきなり氷嚢を持ってきて、腰(患部)にきゅうと当てるのだった。
冷たい、冷たいです~。
そう叫んだら、こういうときは冷やすんです、感覚がなくなるぐらいにね。
そうなの? 感覚がなくなってもいいの?
と不安にさいなまれつつ、マッサージを受け、
塗り薬と湿布が腰(患部)に貼られるのでした。
冷やすのは腰(患部)が炎症を起こしているからだという。
だから今日はお風呂は避けてくださいね。
あとお酒はNGですよ。NG!
そう言われながらも、今日はちょっと野暮用があるのだ。
そうなると、ちょっとアレを摂取しなければならないのだ。
ダメなんですか、お酒、本当に?
と哀願したら、先生は
たしなむ程度なら、まあ、と苦笑するのでした。
腰と酒
どちらが大切か。答えは明白では、ある。