Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

眼力(めぢから)は大切とな

2009年05月29日 | 映画など
君塚良一監督『誰も守ってくれない』を見る。
犯罪加害者の家族を襲う、突然の災厄。
犯人の妹と、彼女を守る役目を負った刑事の物語。
日本の社会って、こんなにも不寛容なのか、というやるせなさと、
それでも人は生きていくのだ、という前向きなメッセージが見て取れる。

誰も守ってくれない(2009)

犯罪者の家族も同罪だ。
未成年だからといって許せるわけないだろう。
犯人と一緒に死刑になっちまえ。
??こうした言葉がネット上で飛び交う場面に戦慄する。

犯人の写真、1万円で買いますよ。
??とふれ回るマスコミに嫌悪感を抱く。

誰が見ても明らかな悪人が登場したときに、
わっと群がる、人々の本音と悪意。
もし、僕やあなたの家族が殺人をおかしたら、
こうした災厄に襲われることになるわけで、
果たしてこんな重圧に耐えることができるだろうか。

そうしたとてつもないプレッシャーを抱えるのが、
志田未来演じる15歳の女子中学生だ。
殺人鬼の妹、という好奇と偏見の目にさらされるのだが、
この少女はじっと、耐える。

彼女をマスコミから守るのが、佐藤浩市演じる刑事。
かつて、ヤク中の容疑者を捜査中、捜査のミスにより、
近くにいた子供を死なせてしまった過去を持つ。
そんなトラウマを抱えた刑事に、殺人犯の妹を守るという任務が下る。

過去に苛まれている刑事が、
少女を守ることで、癒されていき、
守られる少女もまた、生きる勇気を刑事から受け取る。

志田未来の眼力(めぢから)。
それだけでこの映画を引っ張っていると言ってもいいぐらいの強さがある。
佐藤浩市の、逞しさと脆さが同居した刑事像も出色。
同僚の刑事を演じた松田龍平の、飄々とした感じも捨て難いし、
柳葉敏郎や佐々木蔵之介などの脇を固める俳優さんたちも、
さぞかし演じがいがあったと想像するほどの好演。






コメント
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