ということで、
佐野元春&THE COYOTE GRAND ROCKESTRA
「ヤア!40年目の武道館」。
えらく荒れた天候で、傘が吹き飛ばされそうな激しい雨と風、
ときおり雷が鳴ったりする3月13日。
元春のライブに来ると、
それはもうくたびれたおっさんがわんさかと。
もちろん自分もそのうちの一人なのだけど、
今夜はいつもの夜とは違う、と思いながら
集まったのです。きっと。
座席は南西の2階席スタンド。
一席ずつ間隔を開けて、
しっかりと感染対策がされていた。
始まるまでのBGMは
シュープリームスやスモーキー・ロビンソン、
ビートルズの「レイン」や
S&Gの「アイ・アム・ア・ロック」など。
17時きっかりに、コヨーテバンドの面々と、
本日65歳のパースデーを迎えた元春が登場。
再度、セトリです。
01. ジュジュ
02. ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
03. 新しい航海
04. レインガール
05. ダウンタウン・ボーイ
06. レインボー・イン・マイ・ソウル
07. ハートビート(小さなカサノバと街のナイチンゲールのバラッド)
01を聞いていたら、思わず落涙。
こんなに好きだったっけ、ジュジュ。
あ、いや好きだよ、そりゃあ。
と思いながら、聞く。
02と03が続き、そういえば
ここに来る前に「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」を
予習しておいて良かったとしみじみ。
で、04。ええっ、ここでまた泣くかね、自分。
オリジナルに忠実なアレンジで、
優しい優しいフォークロックなラブソング。
ディランで言うなら「アイ・ウォント・ユー」だ。
そして、「90年代にかいた曲です」と06。
若さに任せてシャウトしていた元春が、
ぐっと成熟して大人のロックを歌い始めた頃の名曲。
現在の元春との架け橋になった曲だと思う。
さらに07。15年ほど前、
NHKホールで聞いたときは、
この曲はレゲエ的なアレンジだったけれど、
オリジナルとほぼ同じで、
そうか、あらためてスポークンワーズの人だということに気がつく。
08. ワイルド・ハーツ
09. 愛が分母
10. 合言葉~SAVE IT A SUNNY DAY~
11. ヤァ!ソウルボーイ
12. ロックンロール・ナイト
13. ヤング・フォーエバー
新旧の曲を織り交ぜて、
11から13の流れに悩殺。12でシャウトする元春のボーカル。
2000年代に入った頃から、かなり声の衰えを
危惧するファンも多かったけれど、65歳のいま、
これだけのシャウトができるとは。
14. 朽ちたスズラン
15. 禅ビート
16. ポーラスタア
17. バイ・ザ・シー
18. 東京スカイライン
19. La vita é Bella
20. エンタテインメント
21. 純恋(すみれ)
22. 誰かの神
23. 空港待合室
24. 優しい闇
往年のヒットパレードで突き進むと思いきや、
新しい曲が連続する。すべて近作の
「Zooey」「ブラッド・ムーン」「マニジュ」から11曲。
とくに「ブラッド・ムーン」からは5曲も。
近作まで聞いている人はそれほど多くはないのだろう。
観客の反応は一気にしぼむ感じはあったのだけれど、
次第に盛り上がってくるのは、
楽曲の良さと、聞く人を励まそうとする思いが伝わったからだと思う。
とくに16と21と24の素晴らしさ。名曲です。
25. ニュー・エイジ
26. 悲しきレイディオ
27. SOMEDAY
28. アンジェリーナ
Encore
01. 約束の橋
そしてクライマックス。
そうか、26やるんだ。シャウトしてるよ。すげえ。
お約束の27と28。そしてアンコール。
みんなマスクしていたけど、歌ってたよ。
「レイディオ!」とか「君はバレリーナ!」とか
武道館じゅうに響き渡っていたよ。
終わったのが19時50分。ほぼ3時間。
29曲を歌い切った元春。体のキレとしなやかさ。
ロックスターとしてのカッコ良さを保ちながら、
くたびれたおっさんたちに
一歩踏み出せば誰もがヒーローさ、と伝えてくれたと思う。
バンドの演奏もぶっとくて、ギターもベースも
ホーンセクションも見応えと聴き応えがたっぷりだった。
「自分の人生に必要なのは、やっぱり音楽とライブ」
そう語る元春に大きな拍手を送る。
声援ができない分、拍手に力がこもる。
くたびれたおっさんでもそれくらいはできるのです。
コロナは収まるんだろうか。
ライブの良さをあらためてかみしめた夜ではあるけれど。
少なくとも、元春は10年後もやってるでしょう。
75歳で50周年で。自分もそのときまで生きていたら、
また馳せ参じたいと思う。死屍累々でも行きます。
ありがとう元春。輝き続けている、いつまでも。