旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

日本人の酒

2008-11-19 18:09:27 | 

 

 年の暮れが近づくと酒を飲む機会が多くなるのは例年のことだ。いろんな飲み屋に行くことになるが、メニューの記載が年々変わってきている事に気づく。
 日本酒については、長年「お酒」という表示で書かれてきたが、このブログでも何回か触れたように、最近は銘柄表示がめっきり多くなった。大変にいいことである。平成19酒造年度(20年6月末)でも、1357の酒造場が清酒を造っているのだから、それを十把一絡げで「お酒」と表示するのはあんまりだ。
 それどころか、最近は銘柄のほかに府県名や酒の種類(吟醸酒、純米酒、本醸造など)も表示する店が多くなり、中身で勝負しようとしているところは大変化であり、日本酒もいよいよ食文化として花咲き始めていることを感じる。
 もう一つ気になるのは、清酒と焼酎の掲載順序が、だいぶ前から逆転したことだ。以前は清酒が先で焼酎は後であったが、焼酎の方が先になり、その上、銘柄の種類も断然焼酎の方が多い。

 日本人は、戦前はもちろん、戦後も昭和20年代までは清酒を一番多く飲んでいたが、30年代初めに清酒はビールに抜かれる。その後ビールはうなぎのぼりに増加していくが、清酒は40年代から減少、衰退の道をたどる。そして平成12年にはついに焼酎にも抜かれ(焼酎75万キロリットル、清酒72万キロリットル)、焼酎は本格焼酎の人気がよく、その後も伸びて百100万キロリットル台に乗ったが、清酒は減り続けて50万キロリットルを割った。
 飲み屋のメニューで焼酎が幅を利かせているのは当然だろう。芋、麦、黒糖、泡盛などの焼酎が多彩な銘柄を競い合っている。それを、オンザロックやお湯割り、水割りなどで飲んでいる。

 そもそも、蒸留酒をお湯や水で割って「食中酒として飲む」国は他に例がないのではないか? 世界に著名な蒸留酒であるウィスキーやブランでーは、一般的には食後酒だ。日本人はウィスキーを水で割って食中に飲んでいるが、どう見ても日本食にはあわないと思うが。
 焼酎はその点、20度や25度と度数の低いものが多く、原料の味や風味が生きた本格焼酎は食中酒たりうるのだろう。
 これも日本人の知恵か・・・。
                           


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