旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

日本酒文化とは何か

2008-11-29 15:57:34 | 

 

 前回日本酒の輸出について書いて、外国ではどのような意識で日本酒が飲まれているのだろうか、などと考えていたところ、今日の毎日新聞に西川恵氏が「アジアのワイン文化」について書いているのが目についた。(六面「西川恵のGLOBALEYE」)
 それによれば、「20余年前のバブル期に日本に根付いたワイン文化は、いま韓国、中国、東南アジア各国に広がりつつある」とし、次のように述べている。

 
「ワイン文化は単にワインを飲むということではない。ワインの受容に伴って生み出される新しいライフスタイルを含めてのことであり、・・・(中略)・・・ゆとり、余暇、仲間との集い、暮らしといったものと密接に絡む。身近な例を引くと、ワインは料理との相性を問い、飲むグラスや場の雰囲気を選び、テーブルセッティングなどまで広く包含する。」

 文化、と呼ぶからには正にご指摘のとおりだろう。単に飲むだけと言うのは文化とは言えまい。しかもそれがレストランとかホテルとかだけの、つまりフランス料理専門店とかイタリア料理屋だけのことなら、その国に食べに行くようなものであろうが、一般の家庭にそのライフスタイルが持ち込まれるとなれば、それは正にワイン文化という文化を受容したことになるのだろう。

 諸外国(特にアメリカ)で日本酒はどのように飲まれているのだろうか? 近時増加している和食屋で専ら飲まれているようだが、それは和食との相性という点からも当然と思うが、一般家庭にはどのような形で日本酒が持ち込まれているのだろうか?
 とてもその国の人々のライフスタイルを変えるところまではいってないだろう。その点、さすが数千年の歴史を持つワインの底力を感じさせられる。

 ところで、日本国内にあっても、日本酒文化とはどのようなライフスタイルを作り出しているのだろうか?
 畳の部屋に座り、懐石料理でも時間を掛けて食べながら、鉄瓶で燗をしたお銚子と猪口でチビチビやっていれば、何となく日本酒文化とも呼びたくなるが、洋風の部屋で洋風の椅子に掛け、洋風っぽい料理をつまみに、電子レンジでチンした湯飲み酒をあおっているようでは、どうも日本文化とは呼びにくい気がする。
 外国でどう飲まれているかを気にするより、本国でどのように文化を築いているかを先ず問わねばなるまい。
 まあ、そう文化、文化と力むこともないかもしれないが・・・。
                            


投票ボタン

blogram投票ボタン