旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

チェコの生んだ名酒「ピルスナービール」

2007-02-11 17:42:46 | 

 

 チェコについて書いたついでにビールに触れておこう。
 ビールは世界で一番多く飲まれている酒である。日本人も全飲酒量の約70%がビールである(最近は、発泡酒や第三のビールなど、ビールもどきがその半分を占めるが)。
 世界的にもそうであろう。どこの国に行ってもビールがある。醸造酒で体に優しいし、アルコール度数は数度と飲みやすい。ワインは12度、日本酒は15~16度と高いし、ウィスキーなどスピリッツ類(蒸留酒)は30度から数十度と、日本人などにはそのままでは飲めない。

 ビールにはイギリスのエールやベルギービールのような上面醗酵ビール(醗酵後に酵母が上面に浮く、味を味わうビール)と、ドイツやチェコのビールのような下面醗酵ビール(酵母が下面に沈み上の澄んだ部分を飲む、のど越しを味わうビール)がある。日本のビールは主として後者で、その源流はチェコのピルゼンビール、いわゆるピルスナーにある(ピルゼンはプラハの西方、西ボヘミアの主要工業都市)。
 この黄金に輝くビールの発祥は、1842年の『ピルゼンの奇跡』による。 「ドイツのバイエルンから招かれた醸造技師J・グロルが、バイエルンの下面醗酵酵母と、世界最高といわれるボヘミアの麦芽とアロマホップ(ザーツ地方のもの)、それとピルゼンの超軟水の水(日本以上の軟水)で造ったところ、かつてない『黄金に輝くビール』ができた」(トラベルジャーナル社「中欧」135頁より要約)
 それまでのビールは茶褐色に濁っていたが、この『黄金に輝くビール』がチェコを世界のビール大国に押し上げたのである。私はチェコでは専ら「ピルスナー・ウルケル」(元祖ピルスナービール)を飲んだ。チェコ人はビールが大好きで「プラハっ子は母乳の代わりにビールで育つ」(旺文社「個人旅行」)とか「チェコの地方の病院では薬の代わりにビールを処方する医者も珍しくない」(前掲「中欧」)など楽しい話がたくさんある。
 病気になればビールが飲めるのなら、病院嫌いの私もせっせと医者に通うであろう。ぜひともチェコに住みたいものだ。
                           


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