今日はちょっと寄り道……
昨夜のNHK「プレミアム10」(夜10時の番組)で、映画「サウンド オブ ミュージック」の実在モデル『トラップ一家の物語』が放映された。一家の次女マリアさん(92歳)が、その全生涯を実に清々しく語った。
「このような一家が本当に実在したのか…?」
私は感動を通り越して驚嘆にくれるばかりであった。
何一つ不自由なかったオーストリアの貴族が、1929年世界大恐慌で無一文になる。その後迫り来るナチスの支配に毅然として反対し祖国を離れ、新天地アメリカで苦しい公演活動を続ける。祖国に似た土地、バーモンド州ストウにローンで土地を買い、一家総出の手作りでロッジを建て、開墾して畑を造り自給自足のような生活を続けながら公演活動を続ける。その後それぞれの生活が始まりグループを解散するが、全員さまざまな分野で清らかな生活を送りつづける……
「お金はなかったが、周囲の人もみんなそうだと思っていた。歌が好きで好きで、私たちの歌が多くの人の心に明かりを灯すのがうれしかった」
と語る92歳のマリアさんの顔は、宝石のように美しかった。
若しこの番組を見ていない人がいるのなら、その人に、何時間も何十時間もかけて話してあげたい衝動に駆られる。
しかし、それを語る言葉も、表す文字も私は持ち合わせていない。このような一家が実在したこと自体が尊く、ただ、神と崇(あが)めるのみ。