桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

快晴

2009-12-19 | Weblog
気持ちいい青空が広がっている。風は冷たいが、そのうちね冷たさが心地良い。最高裁で勝った喜びは、まだ続いているが、更に安らかな落ち着きが身体に染み渡るように感じてきた。
俺には拘禁のトラウマがあった。自分の皮膚が自分の身体を締め付けるようになって息が出来ない感じになる。刃物で身体を切り裂きたい思いになる苦しさは、なかなか辛かった。
先日の記者会見で、杉山は苦痛として残るモノは無いと言っていたが、彼は苦しさを手紙に書いて社会の人に訴えていたようだ。社会に帰りたいと訴えていたようだ。正直に苦痛を苦痛として吐き出していたことが、杉山の中にトラウマを残さなかった原因かも知れないと思う。人間は、その思いを正直に語った方がいいのかも知れないね。
俺自身は、そのトラウマから得たものがあるので、それはそれで良いのだが、人が苦痛を語るとき、それを黙って聞いてあげることも必要だと思わされた。
本当に気持ちの良い青空の下、一人でも多くの冤罪仲間に、この安らかで穏やかな思いを与えたいと思っている。

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