桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

町田痴漢冤罪事件

2010-02-07 | Weblog
世の中には沢山の冤罪事件があるが、その一つが町田痴漢冤罪事件だ。被告とされた人は否認したのが悪質だとして実刑になり、今、刑務所にいる。まあ18ヶ月の刑期だし、そう長くはないが、本人は受刑前に癌を患って手術しているし、例え短いと言えども不当に人生わ奪われる苦痛に変わりはない。更に、社会に愛する家族を残す痛みは、俺のように社会に拘る人の無かった立場とは違う苦悩があるだろうと思う。
先日、支援組織の総会に行って来たが、晴れない思いを感じながら帰って来た。家族の報告は、本人の話も含めて泣き言ばかりだったのが歯痒くてならなかったのだ。
今すぐに取り戻したい、その思いは判る。刑務所生活は辛いから帰りたい、その気持ちも判る。だけど、どう考えても、その刑務所にいなければならない間は、いなければならない。ならば、少しでも前向きに、それをプラスに生きなければ仕方なかろうに、「人生の無駄な時間でしかない」と語るらしいのには、かなりガッカリした。
この人は実名を出さない。支援組織内の文章にも出さない。娘さんの会社勤めに悪影響してはの配慮らしいが、実名を明らかにしないは闘い難しい。真実を求める堂々たる思いに姿勢は、必ず人の心を打つし、悪い影響を乗り越えた力を生むものだが、なかなか踏み切れない人も多い。
自分の体験が総てとは言わないが、拘りを吹っ切ったところに真実の闘いの喜びがあったと知る俺には、捨てきれないモノに縛られた冤罪の難しさを感じた総会だった。

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1 コメント

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ありがとうございます (柘植寿三郎)
2010-02-14 10:03:54
 総会でのお話ありがとうございました。また、ここでのご感想、ご意見ありがとうございます。
 本人、家族のみならず、私たち支援組織にも一定の責任があるのかも知れません。
今後のこともありますので、もっと真剣に議論を深めたいと考えます。
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