桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

マイ・ファミリー

2013-07-29 | Weblog
北九州には、冤罪の闘いを通じて親しくなった片岸さん一家がいる。
母親が冤罪に巻き込まれ、北海道にいた長男は大企業の社員を辞して帰郷し、その冤罪を晴らすべく奔走した。
俺は、その奔走の過程で知り合い、ほんの少しだけ闘いの手伝いをしたが、無事に無罪判決を得て勝利した後も、俺の細やかな行動を感謝するとして、何時も北九州に来るたびに歓待してくれる。
片岸さん一家には、伯母さんにあたる馬場さんご夫婦は、また俺を待っていて下さる存在だが、ご夫婦ともにお身体を悪くされて外出されなくなったそうで、昨日は昼にお邪魔した。
久しぶりの再会を喜んで下さり、準備していてくれた手作りの料理で7時間余り、積もる話での滞在になった。馬場さんは、俺の新しい闘いを含めて、明日の暮らしまで心配してくれているのが判り、嬉しいやら感激やらだった。
夜は、ゴルフの予定だったそうな片岸さんの長男、そして結婚して門司に住む長女も合流して、今度は黒崎駅に近い店で、美味い魚を食べながらの乾杯だった。片岸さんの長男、和彦さんは、俺の信頼する弁護士が「あの人柄を知って、母親の無実を確信した」と語るほと、誠実で信頼感のある男だが、俺は、なぜか、その後に出会った長女の典子さんと気が合い、年齢と性別を超えて友人みたいになった。
思い立ったらば、即、行動に移すタイプで、美女て言われる顔に似合わずに「桜井さん、私、本気になったらば、男の人を殴り倒す自信がある」と語る人だが、本質は優しくて素直。久しぶりに語り合ったノリちゃんは、結婚してもノリちゃんで、お互いに「もう少し話したかったね」と別れたが、心置きなく話せるファミリーがいる幸せを、改めて感じた北九州の1日だった。

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