桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

再びの大本営

2013-10-27 | Weblog
梯久美子さんの著書「硫黄島栗林中将の最期」を読んだ。
日本を護るために硫黄島で壮絶な戦いがあり、その指揮者であった栗林中将に付いては知っていたが、その戦いの中身は、殆んど知らなかった。
栗林中将に対する自衛隊の屈折した評価はじめ、梯久美子さんの書いた内容は、実に重くて深い。
父島でのアメリカ捕虜人肉事件に見られる、日本軍の異様さは、今の平和に評価出来得るものではないが、その結果の裁判に於いて示した日本軍人の態度には、多くの学ぶべき点があった。見苦しく抵抗する者、罪を否定する者、潔く総ての罪を認めて部下を助け、かつアメリカ軍の行った日本本土空爆の罪を追及した者、人の最期に示される人間性には、深く考えさせらた。
この本にある絶望的な戦いに臨み、硫黄島に死んでいった将兵を思うと、その御霊に頭を垂れて感謝し、祈る気持ちと共に、今、日本に復活しようとしている「大本営」は、果たして、彼らが望むだろうかと考えた。
日本は、あの戦争を国家として、 何も総括していない。再び戦争を行い、戦死者を生むことは、絶対に望まないだろう。
この本にある戦いの中に逝った魂の気高さに較べて、その魂を敬うかのごとく扱いながら、再び大本営を作ろうとする連中が、いかに薄汚い存在かということも教えてくるた書籍だった。

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