桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

川上家

2008-05-05 | Weblog
俺にはゴールデンウィークにやるべきことが二つある。一つは連れ合いの実家での田植え、もう一つが川上家での一泊だ。
川上家は、連れ合い恵子さんの若かりしころの友人でハジメさんが当主の家。
妻美代子さんも、我々の結婚祝いには参加してくれた。
この二人の一粒だねは江梨子。夫に澄(キヨシ)を迎えて、長男雅大 (マサト)が誕生。これから物語というか、俺とのつながりが深まることになる。
俺が作詞作曲し、佐藤光政さんがCDに作ってくれた「壁のうた」をハジメさんたちが買い、自宅に置いていたのを、江梨子夫婦が聴いたらしい。すると、3才になったマサトは、それを聴いて泣いた。何度も聴いて、その度にマサトは涙を流し、「なんでショウジのお母さん死んだの」と両親に聞いたらしい。
全く布川事件に関心の無かった若い両親は、何も判らない子供が泣くCD、布川事件に興味を持ち、熱心に応援するようになったんだけど、二人には次男が産まれていた。悠大(ユウト)、5月5日産まれ。
マサトを仲介に、川上家と我が家は付き合いを深め、子供たちの誕生会などをして3年前、ユウト5才の誕生会にプレゼントは何がいいかと聞いたら、何もいらないから一緒に寝て欲しいとの言葉。ビックリしたし、嬉しかったし、これには参ったね。「18になるまで、一緒に寝てね」と言うんだから。
だから、ユウトと寝るのがごゴールデンウィークの仕事の一つ。
でも、今年はキヨシの肉親に不幸があり、誕生会は中止。今日、俺が川上家に顔を出したとき、ユウトは「ショウジと寝るんだ」と大泣きした後だったとか。
今、川上家には三男、洸大(ヒロト)も誕生したが、ますます川上家との絆は強くなっている。
冤罪にならなければ、こんな付き合い、体験は出来なかったよね。
どんな不運でも、そこから始まる人生はある!俺の確信だね。今、不幸や悲しみの日々にある人にいいたいよね、頑張って、一生懸命に生きてれば、きっといいことがある!って。

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