桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

検察意見書批判第二弾

2008-05-11 | Weblog
布川事件の争点に、被害者の口に入れられていたパンツが、何時挿入されたかという問題がある。俺は被害者が騒ぐから入れたと話した。なぜ入れたか、なんて聞かれても、それくらいしか想像できなかったから。ところが、被害者の口などには目立った傷が無くて、どうも失神したか、仮死状態で入れられたらしいと判った。で、自白は疑わしいとなったのだが、今回の意見書には、こう書いてある。
『秦鑑定人の、強度の頸部圧迫と口腔内への異物挿入による気管閉鎖の先後関係についての見解は、秦鑑定書において
「特に本屍の主要死因の一つと思考される頸部に存する創傷は強度の頸部圧迫により生じたものであり、更に本屍のもっとも重たる死因と目される口腔内の異物の挿入は口腔内全体に強力に圧迫挿入されたものであり、左右下肢の緊縛は二種布様物にて緊縛せるものにして(中略)以上を総合するにいずれも本屍に直面せる創傷にして、創傷の発生せる時間的差異を認め得ざる處」
と記載されており、両者につき「時間的差異を認め得ない」、つまり、ほぼ同時期に加えられており、前後関係を特定できないと判断が示されている』
もっともらしいよね。でも、これには曲解がある。
この鑑定書部分の検察官が書いてない部分には「2成傷器具の種類及び成傷の方法
兇器の種類を印象していないので、これを明言することは至難であるが、前記創傷がいずれも外傷をともなわない皮下出血傷であるところより思考して、いずれも外部より本屍に対する圧迫により生じたものと思考され」
と記載されている。
そして、検察官が(中略)として書かなかった部分には「全述の通り両下肢の屈伸のみにてその緊縛を排除することは至難の状況である」と書かれている。
これら全体の文脈を一貫して読めば明らかなように、兇器と傷が出来た原因を書いたものであって、殺害手順を書いたものではない。それを、あたかも首を締めた行為と口にパンツを入れた行為を説明したものであるごとくに、「両者につき、時間的差異を認め得ないと判断されている」と書くなんて、おいおい日本語力は大丈夫かい!と言いたくなる。
そもそも秦鑑定人は「2
成傷器具の種類及び成傷の方法」だと明確に見出しで説明してるし、「創傷の発生せる時間的差異を認め得ざるところ」だと明言してる。傷が作られた時間に差異は認められなかったのだと、はっきり書いている。それを「秦鑑定人の、強度の頸部圧迫と口腔内への異物挿入による気管閉鎖の先後関係についての見解は」なんて、勝手に説明目的を変更するのはズル。これを巧みとは言わない。牽強付会と言う。
子供を育てた経験がある人ならば判るはずだが、嫌がる子供に薬を飲ませるのだって大変だよ。連れ合いの愛猫ゴンは21才。ゴールデンウィークに怪我をして食べなくなり、病院通いで大騒ぎだったが、餌を食べさせるために口を開けようとするの、大変だった。まして殺されようとしてる人の口にパンツを押し込むのは、それは傷を付けないでなんて不可能な話なのだ。被害者の口の中や唇などに傷が無いのは、やはり意識を失った後に入れられたのだと思う。
自分たちの過ちを訂正出来ず、無理に犯人だと言うから、このような言辞を弄することになる。正義と公正、検察のバッジが泣くよ、と言いたいけど、証拠を隠して平然とできる検察には当たり前な行為かもね。

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