桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

哀しい別れに

2014-12-18 | Weblog
友人新井清明、セイちゃんの火葬に立ち会った。
俺の他には誰もいない、淋しい別れだったが、彼は堂々たる死に顔をしていた。彼は、何時も自分を押し出さず控え目だったが、柩に眠る表情は、美男子だったままに、歌舞伎役者が見得を切ったような感じだった。
彼は同じ歳。25歳で事件を起こし、社会に帰ったのは、俺と同じに49歳。1996年だった。
セイちゃんの人生は25歳で終わってしまったのだと思い、哀れで涙が止まらなかった昨夜だが、柩の表情は「俺なりに生きたよ!」と語っているように感じて救われた。
セイちゃん、セイちゃんは立派だったよ。刑務所でも、絶対に仲間を売らなかったし、懲罰にも巻き込まなかった。うす汚い奴は、掃いて捨てるほどいたけど、セイちゃんのような人は、ほとんどいなかった。
その才能が眠ったままだったのは残念だったけど、俺はセイちゃんに会えて良かったよ。もっと力を貸して上げられなくてごめんな。最後の酒、美味かったか?あの世があったらば、また会おうな。

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