桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

獄友

2009-07-19 | Weblog
体験しなければ判らないことがある。
警察の取り調べ。これは酷いな。正義を旗印にしたりペテン師みたいな連中が揃っている。いや正義を旗印にした官制暴力団と言った方が正しいかも知れない。刑務所、これも酷い。職員自身が上意下達の階級社会で、上司の指示、命令には逆らえない社会になっているから、受刑者も絶対服従が原則だ。常住坐臥が指示、命令の生活は大変なんてものではない。
どっちも判らない人には、どうぞご体験下さいと言うしかない。
その体験を冤罪の立場でしてみると、同じ体験者は兄弟のような思いになる。
先日、足利事件の菅家さんに会って、話し合い、その兄弟的思いを感じた。
菅家さんは争いごとが嫌いな人らしく、話し相手に逆らうことがない。まずは相手に同調の相次ぎ相槌を打ち、それから話し始めるのだ。ときには、もっと自分の言葉を喋れよ!と苛立たしい思いになったりするが、その穏やかな人柄といると、同じ体験をした仲間だと嬉しい思いになった。
菅家さんは劇的な社会復帰を果し、社会に帰っても大変なことが多いようだ。お金も自分で自由に使えないと聞いて呆れたが、一日も早く俺たちのように自由な日々を過ごして欲しいものだと、会うたびに思う。
昨夜は、初めての北海道から楽し気な電話があったが、俺の思いを語り合える大事な獄友だなと思った。

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