ストライキ決行中の看板が立てられた森精機製作所奈良第一工場=奈良県大和郡山市
■派遣社員がストライキ決行 奈良県の工作機械メーカー
朝日新聞 2008年11月13日
海外市場の冷え込みなどを背景に、派遣社員300人の削減を進めている大手工作機械メーカー森精機製作所(名古屋市)の奈良第一工場(奈良県大和郡山市)で13日朝、就労の継続を求める派遣社員9人がストライキを始めた。就業時間終了の午後5時半まで実施する。派遣労働者によるストは異例だ。
今月から来月にかけて同社に契約を解除される派遣社員でつくる労働組合「関西合同労組大阪東部支部技能育成センター分会」(13人)のメンバー。就業が始まる午前8時半前、スト決行を会社に通告。「派遣はモノじゃない」「生きさせろ」と記したゼッケンをつけて、支援者と集会を開いた。
執行委員の30代の男性は「私たちは正社員と同じように汗を流してきた。もうからなくなったらボロぞうきんのように捨てるという対応に我慢がならない。同様の境遇に置かれ、泣き寝入りしている全国の派遣社員のためにもストを決断した」と話した。
森精機は、製造業の設備投資意欲を敏感に反映し「景気のバロメーター」とも言われる工作機械メーカー。自動車メーカーやその下請け会社が受注の3割を占め、建設機械メーカーや航空機関連メーカーとも取引がある。02年から07年まで増収増益が続いた。
ところが、今年10月の受注額が前年より約3割も落ち込んだ。海外取引が売り上げの半分余りを占めるため、円高が1円進むと約4億円の減収となるのも痛手だ。同社は、奈良第一工場など3工場で働く派遣650人を来年2月までに350人まで削減する再編計画をまとめた。
契約が更新されなかった派遣社員12人とともに10月中旬、労働組合「関西合同労組大阪東部支部」の分会をつくり、「これまで通りの就労保証」を求めて派遣会社と団体交渉をしたり、森精機にも書面で同様の要求をしたりしてきたが、満足な答えがもらえない。13日にストライキして工場の作業を丸1日集団でやめる予定だ。
ついに現場の派遣労働者が組合を作り、団結してストに立ち上がりました。トヨタなどが下請け、孫請けの労働者を使い捨てにしてぼろもうけできたのは、派遣法と御用組合で労働者をばらばらにしてきたからです。資本家は自民党と一体になって、新自由主義を進め民営化で労働運動を破壊してきました。
その足元から動労千葉のようにストで闘う労働組合が誕生したことは歴史的です。日本でもアメリカや韓国や全世界の労働者とつながる闘いが始まった感動的な瞬間です。金融恐慌の中で、労働者は職場や職種を超え、国境を越えて「生きさせろ」と団結すれば勝利できることをつかんだのです。この道を突き進みましょう。私たちも共に闘います。