■韓国 革命掲げ青年がデモ 「積弊清算」へ闘いを継続
前進 速報版 2017年3月30日 12:24
「キャンドルは止まらない」――3月25日、ソウル・光化門広場で第21回汎国民行動が開催された。寒さの残る中10万人が結集し、パククネの拘束・起訴をはじめとする「積弊(これまでの体制のもとでの弊害)清算」に向かって闘うことをあらためて宣言した。
とりわけ、2014年4月16日、パククネ政権のもとで高校生を含む乗員乗客304人が犠牲となったセウォル号惨事の真相究明・責任者処罰が今回のキャンドル集会の大きなテーマとなった。
この事件は何より、「命よりカネ」の新自由主義のもとで進められた規制緩和や外注化による殺人だ。パククネ打倒をかちとり、海底に沈んだままとなっていた船体の引き揚げがようやく実現する中、結集した遺族たちは「同じようなことを二度と繰り返してはならない」と強く訴えた。
さらに、サード(THAAD=高高度迎撃ミサイルシステム)配備の撤回を求めて闘う配備予定地ソンジュ(星州)から上京した住民が発言に立ち、4月の現地集会への参加を呼びかけた。また、2015年11月の民衆総決起闘争での高圧放水銃による農民ペクナムギさん虐殺の責任者に対する処罰、財閥トップ拘束の訴えが続いた。
公務員労組などが事前集会や街頭署名活動を行い、非正規職撤廃や成果退出制の廃止を訴えたことも重要だ。
●6月ゼネストへ闘いが始まった
民主労総は16日に中央執行委員会を開催し、ゼネストで社会を変える闘いに突き進む方針を最終的に確定した。今回の大統領選挙に際し「政権交代では何も変わらない」とはっきりさせ、保守野党の候補者に自らの未来を託すのではなく、労働者の手で積弊の清算と社会の変革をなしとげようという戦闘宣言だ。
大統領選と6月の社会的ゼネストで掲げる3大要求は、最低賃金1万ウォン、非正規職撤廃、財閥解体だ。この訴えは、日々「ヘル(地獄)朝鮮」の現実と格闘し未来を模索している青年労働者の心を揺さぶり、未来をかけた決起が始まっている。
25日には、青年労働者が「最低賃金1万ウォン」を掲げて光化門広場で記者会見を行い、キャンドル集会に合流した。
「パククネは弾劾されたが、青年たちの生活は変わっていない」「青年が結集して社会を変え、積弊を清算する革命を起こそう」――労働者民衆自身の力でパククネを打倒した勝利は、職場やキャンパスで「次は自分たちの日常を変える番だ」という自己解放的な欲求を生み出しているのだ。4月30日には1万人規模の青年労働者大会を開催し、メーデー当日には丸一日のストライキに立ち上がることが高らかに宣言された。
日本でも青年がおかれている状況はまったく同じだ。この怒りと結びつく闘いを実現しよう!
〔写真〕10万人の集会参加者が「セウォル号真相究明」のボードを一斉に高く掲げた(3月25日 ソウル)
■西郡住宅闘争国賠控訴審 請求棄却の国家暴力弾劾 「追い出しに合理性」と言明
前進 速報版 2017年3月23日 18:30
大阪・八尾市の西郡住宅に住む8家族が、住宅追い出しの強制執行を弾劾する闘いが国家賠償請求訴訟として闘われてきた。その控訴審判決闘争が3月15日、大阪高裁202号大法廷で闘われた。
法廷に入った大阪高裁第1民事部の佐村浩之裁判長は、5秒で控訴を「棄却する」という判決を読み上げ、あっという間に法廷から逃げて行った。国家権力の権威もかなぐり捨てて、弾劾の嵐から1秒でも早く逃げたいという裁判長の姿に、私たちは勝利を確信した。
直ちに弁護士会館に移り総括集会をかちとった。
●8家族が次々と決意を表明
最初に弁護団が、「反動判決に負けずに闘い続けよう」と訴え、怒りを込めて判決を弾劾した。「判決は、2000年から闘っていることに対し裁判のやりすぎだと言い、住宅明け渡しの必要性は八尾市にある、仮執行宣言をつけるのは裁判所の裁量だからごちゃごちゃ言うな、裁判所に権利の濫用(らんよう)はない』というとんでもない判決です。ここまで書くか、という内容です」
続いて8家族が発言した。島瀬とよ子さんは、「全国水平同盟西郡支部は負けませんよ。支部長の久原正子さんを先頭に闘う」と決意を述べた。佃照夫さんは、「応能応益家賃制度反対で20年間闘ってきた。これからも上告して闘う。生きさせろの闘いを突き返すような判決は許さない」と戦闘宣言を発した。
八尾北医療センター労組の仲間は、「この間の市営住宅への指定管理者制度導入との闘いで、8家族を先頭に地域の怒りがふつふつとたぎっていることを確信した。JRによる第2の分割・民営化、首切り・転籍攻撃に対してストライキに決起する動労総連合の闘いを軸にして、団結を拡大して闘う」と訴えた。さらに、「八尾北命と健康を守る会」の93歳の仲間は、一緒に闘うと決意を語った。
全国水平同盟高槻支部・植木団地労働組合の仲間は、「私らもどんな判決が出ようが闘う」と決意を表明した。京都の崇仁・東三条支部の仲間は、「20年間頑張ってこられた気持ちを大事にして、私も頑張ります」と、ともに闘う決意を述べた。
婦人民主クラブ全国協議会関西ブロックの山本美知子さんは福島の現実を訴え、「住まいを奪い医療を奪い教育を奪う安倍の棄民政策に、みんな怒っている。この1、2年でみんなが決起する情勢がきている」と訴えた。
●権力犯罪許さず総決起する日に
最後に久原支部長が「裁判所・国家権力にとって、8家族が絶対反対で20年間闘い続けていることが痛いんです。国家権力の敗北宣言です」と核心を明らかにし、判決内容に踏み込んで鋭く批判した。「一審判決は、『(住宅追い出しの強制執行は)合理性がないとは言えない』などという中途半端な内容だった。しかし、今回は国家権力をむき出しにした言葉で、『合理性がある』と言い切った」
さらに久原支部長は、判決は「追い出し通告の後、家が見つからず島瀬さんたちが死線をさまよったことなど歯牙(しが)にもかけない。死ねと言っている」と断罪した。その上で、「この国家暴力、権力犯罪を許さない。狭山裁判での国家権力犯罪と同じだ。これらを一つの闘いとして闘う」と宣言した。そして、「八尾北労組を軸に8家族の絶対反対の闘いが立っているから指定管理者導入をめぐる八尾市・地区協との闘いに勝利してきた。反動判決をはね返す次の闘いへの総決起の日としたい」という決意で締めくくった。(全国水平同盟西郡支部・錦織進)
■福島で被曝・医療シンポ 医師ら200人参加し活発な討論
前進 速報版 2017年3月23日 13:24
3・11反原発福島行動17の大高揚を引き継ぎ、「第2回 被曝・医療 福島シンポジウム―放射線による健康被害の実状と解明―」が3月12日、ふくしま共同診療所などで構成する実行委員会の主催で行われた。会場は、地元の福島市や福島県内居住の人、東北・首都圏から駆けつけた人など200人を超える参加者で埋め尽くされた。
ふくしま共同診療所医師で本町クリニックの杉井吉彦院長と東北大学医学部の青野弘明さんの司会で福島の実状を解明するシンポジウムが始まった。まず4人のシンポジストが講演。最初に広島大学原爆放射線医科学研究所の大瀧慈広島大学名誉教授が壇上に立った。大瀧さんは「広島、長崎の被爆者は福島と共通する問題が大きいことがはっきりした」と切り出し、「当時の研究データの屋内被爆者と屋外被爆者の染色体異常の割合を比較すると、同じ線量でも屋内のほうが高い。これはおかしい」として、「当時、建物による遮蔽(しゃへい)効果を過大に見積もった結果だ。実際には屋内でも思ったほど効果はなく、衝撃波と爆風による粉塵(ふんじん)などを吸ったための内部被曝の影響の方が大きいことを示している」と解説した。続けて福島の高濃度の土壌汚染マップを示し、「風が吹いている時は注意を」と土ぼこりなどによる内部被曝の危険を強調した。
●韓国の医師が反原発の闘い報告
韓国反核医師の会運営委員の金益重(キムイクチュン)東国大学医学部教授は韓国の原発周辺でのがん発症に関する調査について語った。政府の疫学調査は原発とがん発症は関係ないとの結論だったが闘って原資料を入手して再分析し、「少なくとも原発周辺では女性の甲状腺がんは、それ以外の地域より2・5倍多く発生していることがわかった」と報告。原発周辺住民の活発な闘いを伝え、「私たちはこの闘いで必ず勝ちます」と力強く締めくくった。
子どもたちを放射能から守る全国ネットワーク代表の山田真医師は、数値を出して福島の放射能汚染の深刻さを語り、「一般の人は『福島は安全』と聞かされ、『避難者は勝手に逃げている人たち』と思わされている。避難者の子どもたちへのいじめはそれが原因だ」と鋭く告発。三里塚野戦病院や水俣病などでの闘いの経験を述べ「デモや署名だけでなく日常の闘いが重要」と提起。「政府は放射線審議会の機能を強化し、基準を緩めようと企んでいる。『放射線に安全といえる数値はない』と言い続けよう」と呼びかけた。
ふくしま共同診療所の布施幸彦院長は福島での小児甲状腺がん発生の推移を解説した上で、今後大幅に増加する危険があると述べ、「甲状腺検査の縮小・打ち切りは反対」と声を高めた。さらに「『自主避難者』は本当は強制避難させられているのだ」と住宅からの追い出しの動きを厳しく弾劾。「署名だけでなく直接行動が必要だ。福島で闘いを起こそう。さらに各都道府県で避難者とつながり、守る運動を起こそう。県知事・市町村長に申し入れを行い、とくに自治体職員や教育労働者の労働組合に働きかけよう」と熱く訴えた。
内容豊かな四つの講演の後、IPPNW(核戦争防止国際医師会議)ドイツ支部・支部長代行のアレックス・ローゼンさんのビデオレターが上映された。甲状腺検査の縮小を狙う福島県立医大を弾劾し、ふくしま共同診療所を「暗い状況の中の光」として紹介していたのが印象的であった。
●動労水戸からストで闘う決意
会場からの発言で福島市在住の60代の男性が「12月1日に甲状腺がんの手術を受けました」と、不安が去来する中での検査の過程を語り、「周りの人に検査を勧めてほしい」と呼びかけた。動労水戸副委員長の高野安雄さんは「私の組合は被曝労働拒否を貫き、常磐線の全線開通反対の運動を行っています」と紹介。「4月1日に小高―浪江間の運転再開が発表されている。ストライキで闘う」と誇り高く決意を語った。
質疑・応答では質問や意見表明が相次ぎ、特に「1㍉シーベルトは安全」という政府や御用学者のうそを批判する多くの意見が述べられ、内容豊かな討論となった。
まとめと閉会あいさつを杉井医師が行い、「福島の状況は過酷だ。何とか変える努力をしましょう」と心から訴え、福島を先頭に新たな闘いに立ち上がることを誓ってシンポジウムを終えた。
(本紙・北沢隆広)
■韓国・星州 5千人がサード反対叫ぶ 「闘えば勝てる」確信も固く
前進 速報版 2017年3月20日 10:51
●サード一部配備強行に怒り爆発
3月10日のパククネ罷免後も、韓国労働者民衆の闘いは1日も途切れることなく続けられている。パククネと財閥のトップ全員を刑事訴追し、監獄にぶち込んで責任をとらせようという声はますます高まり、これと並んで、パククネ政権が進めてきたあらゆる政策の即時廃棄を求める闘いが力強く展開されている。
その最大の焦点の一つが、THAAD(高高度迎撃ミサイルシステム=サード)配備に反対する闘いだ。
今月6日には、世界最大規模の戦争訓練である米韓合同軍事演習のさなかに発射台2基の搬入が強行された。パククネが労働者民衆にノーを突きつけられて打倒されたにもかかわらず戦争政策が強行されていく現実を前に、住民たちは怒りと決意を新たにしている。
民主労総は13日に声明を発表し「パククネが犯した外交安全保障上の最大の害悪は間違いなくサード配備だ。パククネは弾劾されたが、共犯者は憲法にすら違反しサード配備を強行している。違法なサード配備を狙ったすべての行為を今すぐ中断しろ」と訴えた。
週末の18日には、慶尚北道ソンジュ(星州)現地で7カ月ぶりの大集会が開催された。
この間ソウルの光化門広場でキャンドル行動を主催してきたパククネ政権退陣非常国民行動も「キャンドルよ、ソンジュへ行こう」と先頭で呼びかけ、また全国各地から「サード配備強行阻止のための緊急全国集中平和バス」が企画された。この日、全国から駆けつけた5千人もの人びとで埋め尽くされたソンジュには「サードは去れ、平和よ来い」の声が響き渡った。
ソンジュ闘争委員会の代表は、「ソンジュのキャンドルが火種となって全国に火をつけた」と、自分たちの闘いがパククネ打倒のうねりをつくり出したことへの確信と勝利感あふれる訴えを行った。デモ隊は、サード配備予定地であり、今は米軍の敷地となったロッテのゴルフ場正門前へと迫った。
●米韓合同演習と真っ向から対決
この闘いは、米韓合同軍事演習、そして17日の米国務長官訪韓と真っ向から対決して闘いぬかれた。北朝鮮のミサイルからの「防衛」を口実として先制攻撃を狙う米韓政府を痛撃するものだ。
サードの配備は、昨年の夏に突如として決定された。韓国は、2015年11月の民衆総決起を引き継ぎ、民主労総のゼネストがあらゆる人びとの怒りを解き放っていくうねりの中にあった。それを圧殺しようとするパククネが最後に頼ったのが「北朝鮮の脅威」をあおる戦争政策だった。韓国の闘いが東アジアにおける革命を切り開くことへの恐怖が、パククネと米帝にサードの配備を決断させた。11月23日に強行された日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結も、攻撃の一環だ。
これに対して、自分たちの闘いが戦争阻止に直結する大きな意味をもつことを確信して闘い続けるソンジュの人びとの決意は、「朝鮮半島のどこにもサードはいらない!」というスローガンに凝縮されている。
●弾劾は始まりだ日本でも続こう
民主労総は今年の旗開きで「パククネ政権退陣と追従者たちの清算、そしてヘル(地獄)朝鮮を変える社会革命を進めていく」と宣言した。「弾劾は始まりだ」を合言葉に、全国で新たな闘いが開始されている。
民主労総は16日に大統領選挙に向けた記者会見を開催し「キャンドルに便乗した大統領選挙の候補者が乱立しているが、積弊(権力者により続けられてきた悪政の結果)の政策は強行され、改革立法は留保されている」ことを弾劾し、政権交代に期待するのではなく労働者民衆自身の手で積弊清算と社会大改革をなしとげようと訴えた。
続いて、「財閥独占のヘル朝鮮はパククネ政権の4年間でつくられたものではなく、権力が財閥の腹を肥やし、財閥が権力となったのが70年の歴史だった」と強調した。民主労総は今、解放以来70年にわたり労働者を支配してきた構造全体を覆す闘いに突入している。
韓国の労働者のように闘えば社会を変えることはできる! 民主労総のようにゼネストを闘う労働運動を、日本の地でも必ずつくり上げよう。