■ドイツ出版社在庫なし
朝日新聞 2008年11月16日1時42分
カール・マルクスの「資本論」の、近年では考えられないほどの売れ行きは、格差の広がる日本で小林多喜二の「蟹工船」がブームとなっているのと同じような空気を感じさせる。
ベルリンの出版社のシュトルンブ社長は「在庫がほとんどありません」と話す。同社の「資本論」は06年には年間約750冊売れた。それが今年は10月までに2500冊以上。金融危機が起きた後の10月だけで550冊も売れた。
来年4月までという見通しで残していた2千冊はまもなく底をつく状況で、4千冊を増刷中だ。
資本主義体制を批判したマルクスは、故郷ドイツでも近年は人気がなく、マルクスや資本論を教える大学講義もほとんどなくなっていた。だが、資本論の売れ行きに合わせるように、10月から国内約30大学で資本論の輪読会が始まった。主催は旧東独政権の流れをくむ左派党の学生組織だが、参加者は幅広く、主催者側も驚く盛況ぶりだ。
10月に実施したガイダンスには全国で約2千人が参加。ベルリンのフンボルト大学ではさまざまな学部から約200人の学生が集まっている。
毎日職場で起きている事、全国、世界から伝わってくる事は一つ。資本主義はもう終わっているという事です。しかしこれを認めようとしない人たちがいます。資本家とその手先となっている御用組合や政党です。マルクスが資本論で説いたことは昔の事ではありません。資本家が生産手段を独占して労働者が物として使い捨てられている現実はますますはっきりしてきました。労働者こそ主人公の社会にしましょう。マルクスの原点に戻る時です。