思っていた通り、暑くて暑くて大変だった。日本で言えば8月のモウモウとした暑き日々。しかも街中は多くの車とバイクと三輪タクシーが走っていて、空気も淀んでいる。人と車があちこちを行きかい、ボウッとしていたらひき殺されそうな勢い。歩道なんて有るようなないようないい加減な状況。どこからバイクが現れるか分からないので歩きながらヒヤヒヤのし通し。引ったくりも多いらしいからとバッグも抱えて歩かなければならず、余計に疲れた。ガイドブックが伝えていたように詐欺師まがいの人にも遭遇。信号待ちをしていたら、片言の日本語を話すいかにも、の怪しい男が接近して来た。ダンナが目的地を確認しようと話し相手になった。地図はあるか、と聞くので差し出す。行きたい場所について教えつつ奥さんへのお土産をココで買いなさいと"エキスポセンター"行きをやたらに勧める。そこの回し者か、と疑いながらも話を聞く。三輪タクシーで観光地二ヶ所とエキスポセンターへ行きなさいと強力に推す。タクシーの料金は基準はない。乗車前に交渉しろ、が常識。物価は日本に比べれば低い。ダンナの意見では日本のタクシーは元々高額。怪しげな男が示した金額は思っていたよりも安かった。しかも三ヶ所を回る間運転手は待機してくれると言う。眉唾物、と判断する間もなくどこからかタクシー到着。ダンナはすっかりその気。従って乗って行くしかなく乗車。観光地一ヶ所目は何事もなし。キラキラ寺で何の感慨もない。運転手は片言の英語で次は"エキスポセンター"へ連れて行くと言う。再度タクシーに乗り込んで直ぐ「トイレに行きたくなったからこのまま待っていて」と怪しい芝居。彼がいなくなると別の男登場。こちらも片言英語。「日本人か? バンコクは初めてか? 次はどこへ行く? 」と聞いてくる。答えるとしばらくしてその男は去った。見計らったかのように運転手が戻る。”エキスポセンター”は近距離の場所に有りショッピングセンターだと思っていたらそれは間違いで小売の宝石店。そこで彼らが詐欺師なのがはっきりした。店内には女性店員が数名いて英語で話しかけてくる。本物かどうかも分からない(たぶん偽物)の宝石類を買うようにと迫る。元からそれらに興味がないので日本語で「ああ、これらには興味関心がないのでいらない」と言い残し即、退店。店の外で待っていた運転手は電話中。我々が何も買わない事の報告でもしていたのか。次の観光地へ行くはずが「急遽家に戻らなくてならなくなった」と彼。途中でタクシーを降ろされた。もう付き合わない、が本音だろう。救いは最初に持ちかけられた低金額の料金ですんだ事。店で買い物をしなかったのだから高額料金を要求されるのかと思ったがそうではなかった。まだマシな詐欺師だったのか。次の観光地へも三輪タクシーで向かった。そこでもとんでもない事が起きた。(続く)
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