松本清張さん原作の映画、ドラマは数多いが今回の”けものみち”は1965年に作られたもの。なんと50年も前の作品になるのか。白黒なので古い時代だとは思ったがそんなに経っていたとは。カラー作品とは違い、その時代を近く感じられた気がした。いちばん驚いたのは役者たちの凄さ。各自のなりきり方が半端ない。特に凄い、と思ったのは主役の池内淳子さん。子どもの頃に見た彼女は良いお母さん役が多かったと記憶しているので、どうしても良い人にしか思えない。ところが、この役は非の打ちどころがない悪女。次々と男に取り入り、進みたい方向に進む。これまでの彼女の印象を覆してくれた。もっともこれは彼女にとって初期の作品だから、悪い女を演じた後に良き母役をしていた事になる。演技力に圧倒させられた。脇役の小澤栄太郎さんや小林桂樹さん、池部良さん、伊藤雄之助さんなど皆、上手い。個性的で演技力がある俳優が今はいないな、と改めて思う。細身で手足が長く、綺麗な俳優は増えたが面白味に欠ける。こちらの感覚が古いのかも知れないが、映画も面白いと思えるのが減ったのにはそんな理由があるのかも。
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