凄まじい(?)青春映画だった。1961年日活製作の映画なのでその時代を反映するかのような、今じゃ考えられない若者の熱意が伝わってきた。内容はやや馬鹿らしいところもあってこれを今村昌平監督が作ったの? と信じられない場面もないとは言えなかった。若い頃の長門裕之さんと南田洋子さんが共演。カップル役ではなかったしその後に彼らが恋仲になるなんて予想も出来ないようなふたりだった。当時新人女優だった吉村実子さんの演技がとてもいい。まっしぐらに突き進む心意気と彼女の目がぴったりで適役。この人はだいぶ前にNHKの向田邦子作のドラマの母親役を演じてていいなぁと思ったが、17歳の新人の頃も素晴らしかった。綺麗でツンと澄ましているだけが女優ではないのだ。マシンガンをブッ飛ばして最後は便器に顔をつけて死んでしまったチンピラ役の長門さん。当時はあんな風にいきがったガキがあちこち(特に舞台の横須賀あたりには)に存在していたのだろう。今となっては遠い昔の話しなのでしょうけれど。その他にもキリッとしていながらどこか間が抜けていた若い! 丹波哲郎さんや殿山泰司さん、加藤武さん、小沢昭一さん、大坂志郎さんなど懐かしメンツがそろっていて飽きなかった。それと毎度のことながら棒読みセリフでいつ見ても同じ調子の元水戸黄門役、東野英治郎(?)さんは妙に哀愁が漂っていていい味が出ていた。こんな映画、現代じゃとても作れない。古い映画も時にはいいものだ。
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