スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

川田利明&チルンハウスの旅

2015-07-27 19:25:23 | NOAH
 小橋建太が三沢のパートナーになる以前,三沢と組んでいたのが川田利明です。三沢と同じ高校のレスリング部の1年後輩。三沢は1980年の国体で優勝していますが,川田も1981年の国体で優勝しました。1982年3月に三沢を追うように全日本プロレスに入団。10月にデビューしました。
 プロレスラーとしての第一の転機は1987年のピンチ長州力の離脱で天龍源一郎ジャンボ・鶴田と戦うようになったとき,天龍のチームに入りました。必然的に上のクラスで試合が組まれるようになりました。
 第二の転機が翌1988年11月。天龍のパートナーだった阿修羅・原の解雇です。すぐ後の世界最強タッグ決定リーグ戦のパートナーがいなくなった天龍は,チームの一員から,キャリアの長かったサムソン・冬木ではなく川田の方を指名。このリーグ戦で奮戦することによって,川田の人気は一気に高まったと僕は思っています。
 1990年4月,天龍が退社。退社直後の東京都体育館での試合でタイガー・マスクと組み,試合中にマスクを脱がせました。ここから超世代軍の一員となり,小橋の台頭はありましたが,三沢の正パートナーは川田という時代が長く続いたというのが僕の理解です。
 1992年に鶴田がセミリタイア。翌1993年4月からは超世代軍を離脱。ここで三沢の正パートナーが小橋となり,川田はそれまでは敵対していた田上明と組むようになりました。これは正しい判断だったと僕は思っています。川田の魅力は上位の選手にぶつかっていくことで最も発揮されるのであり,鶴田が不在となったなら,三沢と戦うのが最良の選択であったと思うからです。
 全日本でデビューしてトップクラスまでいった他の選手,鶴田,天龍,三沢,田上,小橋,秋山は,わりと早い段階から脚光を浴びていて,それほど長い下積み時代を送ってはいません。川田だけはそういう時代があり,特異な選手であったと思います。たぶん馬場は,川田がこのクラスまでいく選手であると思っていなかったのだろうと推測します。

 シュラーからの『スピノザ往復書簡集』書簡六十三,1675年7月25日付によれば,この時点でチルンハウスはイギリスにいます。ロバート・ボイルRobert BoyleとオルデンブルクHeinrich Ordenburgはスピノザに対して偏見を抱いていたけれども,チルンハウスが説得したという主旨のことが書かれています。この直前にスピノザとオルデンブルクの文通が再開されているので,確かにチルンハウスはオルデンブルクに会い,文通再開の仲介をしたものと思われます。ただし,ボイルとオルデンブルクが抱いていた偏見というのは,その両者からみれば偏見ではなかった筈です。スピノザとボイルそしてオルデンブルクは,哲学と神学の関係には,異なった見解を有していたからです。逆にいえばおそらくチルンハウスは,スピノザが示した『神学・政治論Tractatus Theologico-Politicus』での哲学と神学の棲み分けに関して,スピノザと同じような見解を有していたのだと推測されます。
                         
 シュラーからの書簡七十,1675年11月14日付では,チルンハウスはパリにいます。ホイヘンスと会った報告が書かれています。スピノザはホイヘンスに『神学・政治論』を送ったらしく,ホイヘンスはそれを読んでいました。それでほかに何か出版物はないかと尋ねられたので,チルンハウスは『デカルトの哲学原理Renati des Cartes principiorum philosophiae pars Ⅰ,et Ⅱ, more geometrico demonstratae』以外には知らないと答えたそうです。
 この答えは嘘ではありません。実際にそれ以外には何も出版はされていないからです。しかしこのときにはチルンハウスは『エチカ』の草稿を入手し,携えていた筈ですから,それ以外の答え方もできたのです。しかしそれについては何も教えず,教えなかったことはスピノザを満足させるとチルンハウスは考えていました。
 この書簡七十は,ライプニッツに草稿を見せることの許可を求める手紙です。なので僕は,ホイヘンスは草稿を読ませるには適した人物ではないけれど,ライプニッツは読ませる価値がある人物だと,チルンハウスは判断していたと解釈します。その場合,チルンハウスは個々の哲学的能力からそう判断したかもしれません。ただ,僕が推測したホイヘンスのスピノザ観に似たようなものを、面会したチルンハウスが感受した可能性もあると思います。

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