スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

棋王戦&現実的な運動

2015-03-08 22:16:57 | 将棋
 柏崎で指された第40期棋王戦五番勝負第三局。いずれ糖尿病共生記の中で書くでしょうが,今日は私的な事情で帰りが遅くなりましたので,感想戦の内容から類推したことだけ簡単に書いておきます。
 渡辺明棋王の先手で角換り相腰掛銀。最終盤は一手違いの攻め合いになりました。
                         
 龍取りを防いで▲5六銀と打たれ,羽生善治名人が6七の馬で歩を取った局面。
 先手から▲6三歩成があり,最有力と思えるのですが,渡辺棋王は不透明な変化が多くて指すことができなかったという理由から▲5ニ歩と打ちました。実際に▲6三歩成は△5六馬で先手が良くすることが困難という結論になったようで,部分的な判断は正しかったようです。
 後手はたぶん▲6三歩成を中心に読んでいて,▲5ニ歩はあまり考えていなかったと推測します。それで△5六馬と取ったのですが,▲3一金△5二玉▲3二龍△6一玉▲8二香で先手の勝ちに。
                         
 △5六馬では△7八銀なら後手の勝ちだったとのこと。結果からすれば,▲5ニ歩が素晴らしい勝負手で,勝着になったことになります。将棋は正しく応接されれば悪手という手がむしろ勝利を呼び込むというケースがあるのですが,この将棋はその典型といえるのではないでしょうか。
                         
 三連勝で渡辺棋王が防衛第38期,39期に続く三連覇で3期目の棋王位です。

 第二部定理一二で,人間の精神mens humanaの観念の対象ideatumの中に起こること,といわれるとき,中に起こることというのをどのように解するべきなのかということを,詳しく調べることを避けるために,ここまではやや迂遠ともいえる考察をしてきました。他面からいえば,一般的にある身体corpusが運動motusという作用に決定されるとき,その身体が,少なくとも運動に対して部分的原因causa inadaequata,causa partialisは構成するであろうという結論を目指して進めてきたわけです。これは,現状の考察にとっての必要性の高さを考慮したものです。ただ,一般的にはそういえないのだとしても,ライプニッツGottfried Wilhelm Leibnizがスピノザを訪問するというときのライプニッツの運動の作用に関しては,ライプニッツの身体の中に起こることと解してよいであろうと僕は考えています。いい換えれば,ライプニッツのこの運動に対しては,ライプニッツの身体が意味ある部分的原因のひとつであると解してよいであろうと僕は考えています。こちらだけを示すことができても,ここから続く考察のためにある程度は有益ですから,ここからはこの運動作用に的を絞って説明していきます。
 まず,第二部定理一二というのが,第二部定理九系からの帰結事項であるという点に注目してください。これはスピノザの訴訟過程から明白な筈です。第二部定理九系は,現実的に存在する個物res singularisとその中に起こることについての言及です。ですから第二部定理一二というのも,現実的に存在する人間の精神とそのideatumに関する言及であると解されなくてはなりません。そしてそのideatumというのは,第二部定理一三により,その人間の身体です。ライプニッツがスピノザを訪問するというライプニッツの身体の運動は,現実的に存在するライプニッツについての言及です。よってこの定理Propositioで説明できる事柄であることは間違いありません。
 このことから理解できるように,第二部定理一二の精神のideatumすなわち身体の中に起こることというのも,現実的に存在している身体の中に生じる,現実的な出来事として解する必要があります。中に起こることの理解に,これは重要なのです。

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