スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

桜花賞・海老澤清杯&敬虔

2022-04-18 18:57:17 | 競輪
 昨日の川崎記念の決勝。並びは吉田‐恩田の関東,郡司‐松谷の神奈川,小森‐東口の近畿,松浦‐小川の西国で守沢は単騎。
 東口がスタートを取って小森の前受け。3番手に松浦,5番手に守沢,6番手に郡司,8番手に吉田で周回。残り3周のバックを出ると郡司が上昇開始。吉田はそのまま続きました。ホームで郡司が小森を叩くとコーナーで吉田が動いてバックの入口では郡司の前に。引いた小森が発進して吉田を叩いて打鐘。このラインに続いた松浦が,内の吉田と3番手を併走。吉田ラインと松浦ラインの併走の後ろに守沢で守沢の後ろが郡司という隊列に。バックから郡司が発進。マークの松谷がすぐに離れてしまうくらいのスピードでしたが,小森マークの東口が番手捲りを敢行。松浦がそれに乗る形になりました。直線は東口,松浦に捲り追い込んできた郡司の争い。とくに松浦と郡司は大接戦となり写真判定になりましたが,同着でふたりの優勝。東口が1車輪差で3着。
 優勝した神奈川の郡司浩平選手は和歌山記念以来の優勝で記念競輪13勝目。川崎記念は2017年,2019年,2021年に優勝していて連覇で4勝目。昨年の全日本選抜競輪も当地で優勝しています。広島の松浦悠士選手は奈良記念以来の優勝で記念競輪15勝目。このレースは小森以外の3人の自力選手は記念競輪で優勝候補というレベルなので,展開がどうなるのかで結果が左右されると思っていました。吉田は結果的に松浦に内に封じ込められる形になって不発。松浦は位置はよかったのですが,あの段階での東口の番手捲りは想定していなかったのかもしれません。郡司は展開面は厳しかったですが,松浦に牽制されるようなレースにはなりませんでした。同着のふたりはライバルといっていい関係ですから,順当といえば順当な決着だったといえるでしょう。

 人間は理性ratioに従う限りでは対立的であることはありません。だから能動的であることはスピノザの哲学では道徳的に推奨されるといってもいいでしょう。つまりスピノザは,現実的に存在するある人間と別の人間が,対立的にならないということを,道徳の規準としているといえます。したがって,たとえ受動的であったとしても,人間が対立しないのであれば,それは推奨される余地があるのです。第四部定理三四は,人間は受動的である限りにおいては対立的であり得るといっていますが,これはそういう場合があるという意味であって,必ずそうなるというわけではないのです。では具体的にどういう場合には受動passioが推奨されるのかを,具体的に考えていきましょう。ニーチェFriedrich Wilhelm Nietzscheは良心の呵責conscientiae morsusすなわち疚しさの起源を原罪に求めていますので,まずはキリスト教との関係で考察します。
                                   
 『神学・政治論Tractatus Theologico-Politicus』では,敬虔pietasであるとはどういうことかということが,ひとつの論点となっています。スピノザはそれを,思想としてではなく,現実的に存在する人間の振る舞いや態度から説明します。つまり新約聖書の教えを守って行動することが敬虔であるといっているのです。他面からいえば,たとえば教会に通うことが習慣になっていたとしても,日常生活の中で教えを守らない行動をする人は,敬虔であるとはいえないことになります。ここから分かるように,スピノザがいう敬虔というのは,宗教の信者,キリスト教の信者のことをいうのではありません。たとえ信心をもっていないとしても,あるいはキリスト教以外の宗教の信者であったとしても,敬虔な人間というのは存在しますし,逆にキリスト教徒だからといって直ちに敬虔であるとはいえないことになるのです。
 スピノザは新約聖書の教えというのはふたつしかないと解しています。ひとつは神Deusを愛することで,もうひとつは隣人を愛することです。つまり日常の行動の中で,神を愛しまた隣人を愛するように振る舞う人が敬虔なのであって,神と隣人を愛さない人,より積極的にいえば憎む人は,敬虔ではありません。人間と人間が対立的であるとは,キリスト教的にいえば,敬虔ではないということを意味するのです。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 皐月賞&先達と相違 | トップ | スタセリタ&振る舞い »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

競輪」カテゴリの最新記事