スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

長州力&分節の有効性

2012-01-20 18:39:15 | NOAH
 ジャパンプロレスとの対抗戦時代に,僕が全日本プロレスから少し離れてしまった理由のひとつに,ジャパンプロレスのリーダーが長州力だったということは,確かに影響していたように思います。僕は長州が素晴らしいプロレスラーであるということはいっかな否定しません。ただ僕は,長州のプロレスには馴染めなかったというか,いまひとつ納得がいかない部分があったのです。
 長州というのはヘビー級としてはそうも大きなレスラーではありません。もっとも,僕は必ずしもプロレスラーは大きくなければならないと考えているわけではないです。三沢なども大型とはいえませんが,最良の時代には僕は全日本に回帰していますから,長州の身体が大きくなかったということだけが僕にとっての問題であったわけではないのです。
 僕が納得できなかったのは,長州がラリアートをフィニッシュホールドにしていた点でした。長州は全日本に登場する以前,新日本では基本的に藤波をターゲットにして戦っていました。藤波もまたそうも大きなレスラーではありませんから,仮に長州がラリアートで3カウントを奪ったとしても,そんなに違和感はありません。ただ,全日本で自分より明らかに大きなレスラーと戦うようになった場合には,どうもすっきりしないものが僕にはあったのです。もちろんこれはとくに全日本時代に限った話ではなく,新日本にUターンした長州が,たとえばスコット・ノートンを相手にラリアートで勝つというような場合にも,僕にはいまひとつ釈然としないような気持ちがありました。この当時の長州が戦っていた鶴田や天龍は長州より大きかったですし,全日本には大型の外国人レスラーも揃っていましたから,とくにそういう部分が顕著になって僕に表れたということはあるかもしれません。
 三沢も大きなレスラーではありませんが,三沢がエルボーでハンセンに勝ったとしても,僕は納得できたのです。つまり三沢のエルボーに感じられるようなものを,僕は長州のラリアートにはなぜか感じ取ることができなかったのです。

 まずは,第二部定理九系で,対象ideatumの中に起こることの観念ideaの原因causaがその対象の観念であるという意味を含んでいなければならないというとき,この原因を十全な原因causa adaequataと部分的原因causa partialisとに分節することが,それ自体で意味を有するのかどうかということを確認しておくことにします。というのは,もしもこうした場合にはこの原因は必然的にnecessario十全な原因であるとか,逆に必然的に部分的原因であるということであるなら,そもそもこうした分節をすることによって何事かを探求するということ自体が,その有効性を失するということになるであろうからです。逆にいえば,スピノザが第二部定理九系で示している事柄が,対象の観念が十全な原因となって生じる場合もあるし,部分的原因となって生じる場合もあるということが示せれば,この課題は克服できるということになります。
 まず第一に,対象の観念が対象の中に起こることに対して十全な原因であるという場合ですが,これは僕はそれ自体で生じ得ると考えなければならないと思います。前回の考察において,人間の精神mens humanaのうちで,思惟作用として半円の回転が生じることによって球の十全な観念idea adaequataが発生するということを示しました。そこである人間がこうした思惟作用をなすときは,この思惟作用はこの人間の精神のうちで生じているのであり,そしてこの人間の精神だけがこの思惟作用の原因を構成するということは明白でしょう。いい換えれば人間の精神という観念が,この観念の中で生じていることの十全な原因となっているのです。
 厳密にいうならこれは理性の有entia rationisについての説明であって,観念,とくに第二部定理九系のように,その対象と関連付けられるような観念についての説明ではないということは僕も認めます。しかし重要なのは,こうした思惟作用だけがその人間の精神の能動actioを意味するということです。したがって,対象の中に起こることの観念に対して,その対象の観念が十全な原因を構成するということはないと主張するならば,それはその対象の観念は,その観念のうちに生じるすべての思惟作用に対して能動的であるということは不可能であると主張しているに等しくなります。しかしこの主張はそれ自体で不条理であり,よって対象の観念が十全な原因の場合は生じると考えます。
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