スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

東日本大震災被災地支援オールスター競輪&半円の回転

2011-09-05 18:36:25 | 競輪
 雨はともかく風の影響を大きく被るのが競輪というスポーツ。岐阜競輪場を舞台に戦われた第54回オールスター競輪は台風の影響で3日の準決勝が順延。決勝も1日繰り下がって今日となりました。並びは佐藤友和-佐藤慎太郎-伏見の北日本,長塚-合志の81期,深谷-山内の愛知,浅井-山口の中部。
 佐藤友和の前受け。浅井が4番手,長塚が6番手,深谷が8番手で周回。残り2周のホームで佐藤友和が誘導を外して先行態勢。バックに入って長塚が内を上昇,伏見をどかすと,外を深谷が発進。このスピードに山内が離れ,3番手で長塚と競り合うと,4コーナーで長塚がインから山内を押し上げ,これが佐藤から深谷へと連動して深谷は大きく浮きました。ホームから浅井が発進すると,一旦は前に出ていた長塚が佐藤慎太郎を押し上げ,このあおりで両者と伏見,山内の4人が落車。浅井に山口は離れ気味でしたがバックで何とか追いつき,3番手に佐藤友和,4番手に合志。深谷は落車は避けましたが圏外。浅井の発進に脚を使った分でしょうか,直線でも山口はあまり差を詰めることができず,浅井の優勝。山口が2着で佐藤友和が3着。
 優勝した三重の浅井康太選手は7月の寛仁親王牌に続いて2度めのGⅠ優勝。アクシデントで後味の悪いレースとなり,多分に恵まれたのは事実。ただ,ホームで先に踏んでいたからアクシデントに巻き込まれずにすんだともいえ,その部分の積極性が好結果をもたらしたとはいえると思います。末もしっかりとしていて,まだまだ大きいところを勝てるであろう選手でしょう。

 『知性改善論Tractatus de Intellectus Emendatione』でスピノザが示している球の観念の発生を人間の精神mens humanaによる能動actioであると僕が考えるconcipereとき,注意しておいてもらいたいことがさらにもうひとつあります。
 これはスピノザ自身が当該の部分で述べていることでもありますが,自然のうちに形相的にformaliter,すなわち物体corpusとして球が現実的に実在するとしても,そのすべての球が半円が直径を中心にして一回転することによって現実的に発生したというわけではありません。これはそれ自体で明らかだと思います。いい換えれば,たとえば半円自体の本性essentiaのうちに,それが直径を中心として回転し,球が形成されるということが含まれているわけではないのです。したがって,もしも半円自体が回転するということをそれ単独で抽出するとすれば,それは十全な観念idea adaequataなどではありません。もしもこれがそれ単独で何らかの十全な観念であり得るとしたら,その観念の対象ideatumは半円であるとしか考えられないでしょうが,半円の本性にはこのことが含まれていないのですから,むしろこれは混乱した観念idea inadaequataであると考えるべきだと思います。
 半円の回転を肯定するような意志作用volitioというものが十全adaequatumであり得るのは,あくまでもそれが球の観念と直結しているからです。これは,半円の回転というものが,球の観念のみを肯定することができ,その他の一切の観念についてはそれを肯定できないということからも明らかだと思います。なぜならこのことのうちには,もしも球の観念がないならば,半円の回転を正しく肯定することは不可能であり,よって球の観念なしに半円の回転がそれ単独で知性intellectusのうちに生じるなら,それは混乱しているということが含まれているといえるからです。
 このことは,第二部定理三五からさらに明らかだといえるでしょう。誤謬errorというのはある認識cognitioの不足を意味しますが,半円の回転というのがある知性のうちで誤謬となるとすれば,それは球の観念という認識を欠いているからであると考えられるからです。つまり半円の回転は,球の観念の認識を含むことによって,初めて十全であるといえることになるのだと思います。なお,これについては上野修が『スピノザの世界』の2章で詳しく論じていますから,それも参考にしてほしいと思います。
                         
 僕が『知性改善論』における球の観念の発生を人間の精神の能動とみなすとき,以上のふたつの意味を含んでいます。その上で,僕の結論とマシュレの結論はこの点で一致するであろうと僕は考えていると理解してください。
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