スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

善&第一部定義七

2006-10-28 22:51:02 | 哲学
 高慢という感情は喜びですから,それ自体では善であるにも関わらず,スピノザは否定的な感情のひとつと考えています。ところでこのとき,善といわれる概念は,スピノザ哲学では一般的にそう考えられるのとは違った意味をもっているので,簡単に説明しておきます。まずスピノザは,普遍的な善,あるいは普遍的な悪というのは認めません。各々の人間にとってよいもの(その人を喜びに導くもの)と悪いもの(その人に悲しみをもたらすもの)があるだけで,そうしたものを各々の人間が善あるいは悪と判断するのです。したがって,同じものがある人間には善であり,別の人間には悪であるという場合もありますし,同じ人間でも,あるときは善であったものが,別のときには悪にもなり得るわけです。ところで,スピノザの考えでは,実在するものはすべてその実在に固執し,そのゆえに喜びを求め,悲しみを排除するという本性(傾向)を有します。したがって,人間はそれが善であるからそれを希求し,またそれが悪であるからそれを排除するのではなく,むしろあるものを希求するがゆえに(そのものが自分を喜びに導くがゆえに)そのものを善と判断し,逆にあるものを排除するがゆえに(そのものが自分に悲しみをもたらすがゆえに)そのものを悪と判断するということになるのです。この分析は僕にはかなり鋭い分析であると思われ,スピノザの考え方の中でもとくに感嘆したもののひとつです。
 明日は天皇賞(秋)です。コスモバルク◎に期待します。距離はベストで,ここが日本でGⅠを勝つ最大のチャンスと思います。直線の長いコースはやや不安ですが,折合い面の不安が解消しつつある点で相殺できそうです。相手にはこのレースを得意としている(一昨年2着,昨年3着)のダンスインザムード○。内目の枠もこの馬には絶好と思います。もちろん昨年の秋以来,この馬に先着を許していないダイワメジャー▲も軽視できません。こちらも希望の外目の枠を引きました。スイープトウショウ△はその後で,魅力を感じるインティライミ△まで。

 定理三二を証明し,またその意味を把握するためには,スピノザが自由というのをどのように考えているかということを理解しておく必要があると思います。なので第一部定義七。「自己の本性の必然性のみによって存在し・自己自身のみによって行動に決定されるものは自由であると言われる。これに反してある一定の様式において存在し・作用するように他から決定されるものは必然的である,あるいはむしろ強制されると言われる」。自己の本性の必然性によるか自分自身の意志によるかという観点を別にすれば,これは僕がエチカに回帰する前に考えていた自由というものの概念とそうは隔たっていません。ということはこれを逆に考えれば,あるものを自由であるという場合に,そのものの本性に注目するのか,それともそのものの意志に注目するのかで懸隔が生じるのだと理解できます。つまりスピノザは,あるものが自由意志を有するがゆえにそのものが自由であるとはみなさないのです。そして今は,その点だけを理解しておけば十分であろうと思います。
コメント
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