仙腸関節が痛いという方が来られました。
仙腸関節ならJAAだな、と考えていたのですが、脈診で肝経と心包経がちょっと弱いようでしたし、仰臥になってもらうと、写真のように前腕が内旋していました。
これは何を意味するかと言いますと、心・心包の経絡は前腕内側を通っていますので、心・心包の経絡に経筋腱収縮牽引が起こると、前腕は自然に内旋してしまうわけです。
仙腸関節の状態を診るために、仰臥になったまま膝を立てさせ、足を少し広げてから片方ずつ膝を内側に倒しました。
すると、右膝を内側に倒すと、痛そうな顔をして体までついてきました。
この臨床は面白いと思ったので、スタッフに「ちょっと面白いから見ていて!」と声をかけてから右の肝査穴に1本鍼を刺し、少し捻転してから抜鍼しました。
そしてすぐに、先ほどのように両膝を立ててもらい、片膝ずつ内側に倒しました。
「どう?痛い?」
「痛くないです。痛みがなくなりました」と笑っていました。
お昼になり、スタッフと一緒に食事に行ったのですが、食事中にスタッフが、
「さっきの治療は面白かったですねー。あれは何で肝査穴なんですか? 脈診で肝臓がおかしいので肝査穴を使ったのですか?」と聞くものですから、
「いやいや、脈も診たけど、心包経がちょっと弱かったぐらいで、肝の脈は問題なかったですよ。しかし腕が内旋していたので、肝→筋膜→心包(心筋)→腕の内旋と考えることができますし、同時に肝→臀部の筋肉→仙腸関節の歪み、と考えることができるわけです」と説明しました。
このような「診断方法の選別」→「治療法の選別」は、ある程度の経験がなければなかなか難しい。
特に一穴鍼法では演算が必要になるので、「七星論表」が頭にはいってなくてはできない。
今回の 臨床実践塾 では、このような診断と治療法の選別方法も説明していくつもりです。(^-^)