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金融政策だけでは限界がある:元日銀政策委員・須田美矢子氏語る(学校で教えてくれない経済学)

2011-12-27 11:19:06 | 経済学
週明け、26日の欧米の株式市場は、クリスマス振り替え休日のため休場だった。朝5時45分からの「モーニングサテライト」をたまたま見た。日銀の政策委員を10年務めた須田美矢子氏とキャスターとのインタビューの様子が写っていた。その中で「ECB(欧州中央銀行)が金融緩和へ向けて動き始めたことは無視できない。中央銀行の信任が問われる」との須田氏のコメントが印象に残った。「新興国も金融緩和の方向ですが」とキャスターが水を向けたところ、須田氏は「米国のQE2は株高には効果はあった。しかし、実態経済に効果があったかについて証拠はない」と答えた。

当の「モーニングサテライト」は、JPモルガン証券、菅野雅明氏と三菱東京UFJ銀行、鈴木敏之氏が出演しておられた。須田氏とのインタビューをはさみながらゲストの二人がそれぞれ所見を述べる形で番組が構成されていた。その中で「米FRBが現在も取り続けているQE2(量的金融緩和第2弾)は、米国景気下支えには一定の効果があった」と菅野氏は応じた。鈴木氏は「日本は量的緩和を実施した。しかし、日本の企業には、(金融緩和を生かして)前に向かっていく姿勢に弱さがあった」と総括した。

26日夜、テレビ東京の番組をたまたま見た。2012年の欧州金融危機がどのような展開をみせるのか議論していた。今朝の「モーニングサテライト」でも欧州金融危機が焦点になった。金融危機回避策として「資金の多量供給」で対応することは他に選択肢がないことで○、『ファイヤーウオール策』としての国債の無制限購入は×、EFSF(欧州安定化基金)への貸出は×、財政規律強化は「決まっていない」という結論だった。

昨晩のテレビ東京の放送での中心のテーマは、CDS(クレディット・デフオルト・スワップ)だった。舌を噛みそうな名前である。国債などの保有者が保証する人に払う保証料のことだと解説していた。現在CDSの保証料率は問題のイタリア5~6%、スペインが4~5%、フランスが2%前後、ドイツが1%以下とそれぞれの国の国債のリスク度合いを分かり易く示している。危険な物件ほど保証料率が高くなる。当の番組では問題はCDSが本来の目的から離脱しCDSそれ自体が取引の対象として売り買いされている。それを規制しようとする動きが欧州内部でも起こっていると指摘していた。

今朝の「ワールドWaveMorning」でフランスF2が、11月のフランスの失業者が2万9,900人、前月比5.4%増えた。この内25歳以下の若者と女性の失業者の伸び率が大きい。これが問題だ。今後雇用情勢は悪化するだろうと専門家はみていると解説していた。先のCDS保証料率ではフランスは比較的低位である。しかし、経済の実態が悪化すれば、国債の値段が下がり、つれて利回りは上昇する。利払いが増えれば国の財政はその分悪化する。財政が悪化すれば国債は値下がりし利払いは増える。投機資金が傷口を狙って売り浴びせてくる。相場は下がる。利払いは増える。国の財政は破綻する。

欧州の金融危機は日本にとっても他人ごとではない。日本の国債残高は1000兆円に近付いている。金利が2%になれば利払いだけで20兆円、3%になればそれが30兆円に膨らむ。かりに消費税を10%に上げても、景気が回復し、税収が増えない限り、帳尻が合わない。単純な算数の問題である。小学校の3年生の子供でも容易に分かる。

日銀の政策委員として、須田美矢子氏が、10年前颯爽と記者会見の場に登場した時の画面を写していた。今朝インタビューに答える氏の表情は、テレビは残酷なもので、失礼を顧みず言えば、疲れがありありと見られた。金融政策だけでは限界がある。ご自身の思い描いたようには現実は動かなかった。日銀の政策如何に関わらず日本経済は世界景気の動きに見事翻弄されたことをここ10年の日本のGDPのグラフが示していた。(了)



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